たいての教科書には「速さは速度の絶対値である」と書いてありますよね. つまり速さは負の値をとってはいけないのでしょうか? 例えば運動量の問題で,2物体A,Bが衝突するとき,衝突後のAの速さを左向きにvとした場合,実際は右向きで速さが負となってしまう場合がありますよね?
訂正です. 「衝突後のAの速さを左向きにv」 ↓ 「衝突後のAの速度を左向きに速さv」
衝突の場合の運動量保存の式の中のvは速さではなく,速度(の成分)です. 従ってvの値の正負によって速度の向きが区別されます.
>たいての教科書には「速さは速度の絶対値である」と書いてありますよね. >つまり速さは負の値をとってはいけないのでしょうか?
はい,その通りです.
>例えば運動量の問題で,2物体A,Bが衝突するとき,衝突後のAの速さを左向きに >とした場合,実際は右向きで速さが負となってしまう場合がありますよね?
高校物理では速さ,速度,速度の成分を混同して使うことがしばしばありますよね.これは初学者にとって非常に悩ましいものだと思います.ですから,問題文などで表現に違和感を覚えたとしても,自分の中で解釈し直して,臨機応変に対応して下さい.そのうち,自分でも混同して使うようになりますからw
速さと速度を妙に区別するのは全く不合理な習慣です. そんなことをしていたら,ほとんどすべての物理量に2つずつの名前が必要になります. たとえば,「電圧さ」と「電圧度」のように. 物理量は原則符号つきにしておいて,区別が必要な場合は「XXの大きさ」あるいは「XXの絶対値」と いえば済むことです.
英語でspeedとvelocityを使い分けている悪習が伝染しているように思えます.
MXKさんのおっしゃることはもっともです. ただ,richitiさんがおっしゃる ベクトルの「大きさ」と「成分」は区別するというのも教育的に大事な概念だと思います.
# いま,言っている「成分」とは,あるベクトル とそれに平行な(順平行とは限らない)単位ベクトル に対して, となる のことです.
大きさと成分が区別されていない教科書も多いですが...
「右向きに〜の速さ」,「左向きに〜の速さ」という表現の「向きと速さとを合わせたもの」を「速度」と言っています.向きが言葉であらわされているのと符合で表されているのとは同じ内容のものです.でも受け取り方が違いますね.言葉で表しているときはベクトルを意識していないようです.それで面食らうのだと思います.
速さという概念は物理の成立よりもずっと古いものです.ベクトルの概念は逆にずっと新しいです. 日常語は「速さ」で充分です. 速さと区別する意味で作られた言葉が日常の中に入っていってもともとあった速さと同じ意味で使われるようになった,速さというかなの入った言葉よりも漢字ばかりの言葉の方が重みがあるということでか知りませんが速さの意味での速度がどんどん使われるようになったというのが混乱の原因でしょう.スピードメーターを「速度計」と訳したあたりから広まったのかもしれません.あれは「速さ計」だといっても誰も使いたがらないでしょう. 速さとか重さ,高さという使い方をなくして物理用語一本にするというのはできないことだと思います.またそうすることがいいことだとも思いません. むしろ専門的な意味を表すために新たに作られた言葉を格好付けのために日常に持ち込もうとする傾向のようなものの方に問題があるという気がしています.専門用語を業界用語的に用いて集団への所属を確認したり,他の集団との差別化を図るという使われ方をしている場合もあります.TVを見ていてそう感じることが時々あります.理学系よりは工学系に多いようですが.こういう場合はもともとの意味とは違ったものになって広まってしまうということが起こりえます. 「速度」の使われ方はまだましな方かもしれません.
専門的な用語に日常をあわせるべきだとは思いません.不経済です. でも,専門教育においては日常の言葉と専門用語は違うことを学ぶことは必要です. 日常にあわせるのはナンセンスですよね.
例えば,エネルギーの様に日常と物理とで使い方が違うものは多いです. そこはきちんと理解してもらわなければいけないと思います.
日常では「速さ」は重要かもしれませんが,物理では「速さ」は二義的なものにすぎません.
他の物理量に2つずつの名前を用意できない以上,速度と速さに意味の差を持たせるのは どうかと思うわけです.「速度」=「速さ」で十分でしょう.(もちろん,「速さ」は使わないというのでも構いませんが.)
ベクトル量 には,その大きさ , 成分 が付随しており,前者は負でない値を,後者は正負の値をとることができます.
「右向きに の速さ」という場合も,成分を意味すると考えて, は「左向きに のこと」と解釈するのがよいと思います.
> 「速度」=「速さ」で十分でしょう.
速さを速度(ベクトル)の大きさでなく成分と考えると約束できるなら,向きまで考える場合ずいぶん取り扱いが楽になります.ただ,そこまではコンセンサスがないような...