もし,1000?重のにもつを4.46×10の8乗J(ジュール)の力で鉛直上向になげたら何メートルになりますか?
とし,高さh[m]まで上がるとします. 重力加速度g=9.8[m/s^2] 質量m=10^3[kg]とすると,
解くべき方程式は, 「地上での力学的エネルギー(運動エネルギー)」=「最高地点での力学的エネルギー(ポテンシャルエネルギー)」 ですから, より,
ですね.
結果自体は,大して変わりませんが, この求め方をさらに精確にし,上空では地球の重力が弱くなることを 考慮した式もあるのですが,それも書きましょうか?
質問も解答も単位の視点からは問題ありだと思います.
質問の「kg重」は力の単位で,質量の単位ではありません.「にもつ」に対する重力と解釈すればいいのかの知れません. その場合は,
「地表で1000?重の重力を受けているにもつを4.46×10の8乗J(ジュール)の力で鉛直上向になげたら何メートルになりますか?」
というべきかと思います.それにしても「kg重」は力の単位としては,もはや標準的ではありません.
さらに,ジュールはエネルギーの単位で力の単位ではありませんので,最低限でも
「地表面で静止している1000?のにもつに4.46×10の8乗J(ジュール)のエネルギーを与えて鉛直上向になげたら地表何メートルに到達しますか?」
と直すべきかと思います.
解答に関しては,単位の記法に問題があります.この掲示板でもずいぶん議論されてきたはずですが, それらを全く無視されたものになっています.
標準的なものに向けて(最小限の)修正をすると,
「 とし,高さ まで上がるとします. 重力加速度 , 質量 とすると,
解くべき方程式は, 「地上での力学的エネルギー(運動エネルギー)」=「最高地点での力学的エネルギー(ポテンシャルエネルギー)」 ですから, より,
ですね. 」
解答は致命的に誤りというわけではありませんが,記法に関する,この掲示板や「間違い報告」での議論の成果を全く生かしていないと思われるので,あえてコメントしておきます.
そもそも質問が物理や日本語に変なのは置いておくとして,解答の単位の取り扱いに問題があるのは確かですね.
高校の物理の教科書において単位の取り扱いが古くさくかつルーズなせいで,大学入試でもそれに従うしかできず,大学の初学者向け講義でも時間の都合上きちんと単位についての講義がなく(教員でもきちんと単位を理解している方は少ないのではないかな?),よって,単位についての正しい理解を得る機会が少ないですね.
物理で重要な概念である次元解析があるので,高学年になれば単位についての正しい理解ができているはずなんですが,今回のように生の数が出てくる問題だと「つい昔の癖が出てしまいます.」
ま,大学院の学生さんでも,単位の取り扱いをきちんと理解している方はすくないとおもいます.過剰な反応をせずこれを機会に正しい理解をされればいいでしょう.
大事なのは単位 はそれ自体が物理量ということです.
重力加速度の大きさを でなく, と表すのは,ちょうど,光速の 倍の速さ を でなく と表すのとおなじです.
横から失礼いたします.
> 大事なのは単位 J,m はそれ自体が物理量ということです.
全くその通りだと思います. しかしながら,
> 重力加速度の大きさを 9.8[m/s `2`:sup: ] でなく,9.8m/s `2`:sup: と表すのは,ちょうど,光速の 0.1 倍の速さ v を > v=0.1[c] でなく v=0.1c と表すのとおなじです.
には,私は違和感を感じます.大学以上の課程ならば,それでもよいかもしれません.しかし,中学生・高校生たち,学習半ばの者にとっては,わかりにくい説明です.
一例を挙げますと,大学以上の課程では,『力 F を与える』 というだけで十分ですが,高校の教科書には,『F[N] の力を与える』 という表記が随所に現れます.垂直抗力を表すには文字 N をよく使いますが,『N[N] 力』 というときには括弧 [ ] がないとどうにもなりません.印刷物では物理量を表す場合には斜体,単位を表す場合には立体と活字を使い分ける暗黙の了解がありますが,手書きする場合には困ってしまいます.活字の場合は…,手書きの場合は…と異なる約束を設けるのも煩わしいことです. この場合,括弧 [ ] は,<b>学習半ばの課程において,誤解を避ける,煩わしさを避けるための便宜</b> であってそれ以上のものではない,が私の意見です. 皆様のご意見を伺わせていただきたく思います.
山旅人さん,私の意見はおもに大学以上の話で,中高生が記述する場合は「教科書」に従えばいいと思います.
# もっとも教科書によって変数の表示が 「 [m]」「 」だったりと混乱が見られますね.まともな(=理系向きの)教科書は後者を採用していたと記憶しています.
学習の話でなく,研究(大学生以上)の話なら,きちんと規格があるのですからそれに従うべきです.
>> toorisugari no Hiro さん > 学習の話でなく,研究(大学生以上)の話なら,きちんと規格があるのですからそれに従うべきです. 同意します. その上で,中高生の課程においては,「『F[N] の力』 と繰り返し唱えさせることによって,力の単位は N であることを確認・定着させるという」 意図があることを申し添えます.(← 23:18 書き加えました.)
ところで,私は別の観点で,この質問に注目していました. >> 人魚さん できたらこの問題の出自(学校で宿題に出された,とか) を教えてもらえませんか.
と申しますのは,MXK が指摘されたいくつかの問題点を補ったとしても,この問題の設定が,われわれの日常の感覚からあまりにもかけ離れているからです.
すなわち,質量 <b>1000 kg</b>(= 1 t) の物体,<b>4.46×10 8 J</b> のエネルギー,….この物体を <b>投げ上げる(=940 m/s の初速 (中型の乗用車にライフルの弾丸の初速)を与える)</b> …これらは全く非日常的な設定だといわざるを得ません.
E=mgh=(1/2)mv 2 の理解を確認したいならば,『質量 1 kg の物体に 300 J のエネルギーを与えた』 で十分でしょう.
みなさん,どのように思われますか?
山旅人さん>
この問題は,以前にMXKさんにご指摘頂き,プロジェクト内でも議論になったことがあります.私たちが記事を書く場合の方針として,一応次のように結論したと記憶しています.
・単位に括弧が要らないという意見は全く正しい. ・しかし,括弧があった方が学校では教えやすい等の現場の意見もある. ・一応,括弧はつけないことを推奨するけれど,細かい部分は各自の判断に任せる.
その後,単位に関する記事をきちんと書こうというような話もありましたが,まだ出来てないと思います.
> その上で,中高生の課程においては,「『F[N] の力』 と繰り返し唱えさせることによって,力の単位は N であることを確認・定着させるという」 意図があることを申し添えます.
教育上そういう意図があることは理解しています.ただ,このため物理量に代表される「量」と「数」の区別がトレードオフで捨てられているのが残念です.高校でも理系上級のクラスでは発展課題として正しい考え方を教えてもらいたいところです.(ま,いろいろ制約があるのでできないことも理解してますが...)
クロメルさんは,
>この求め方をさらに精確にし,上空では地球の重力が弱くなることを >考慮した式もあるのですが,それも書きましょうか?
どうも,本問の背景をご存知のようで・・・ #燃焼過程で,軌道に投入した後に「にもつ」が感じられる重力は...
過去に単位についての議論が有ったのですか.
了解しました.物理量は,数値と単位物理量の積と言う考え方を するのですね.
>スパイクさん
いえ,この問題の背景はぜんぜん知りませんよ. ただ単に,重力ポテンシャルを ではなく, に変えて考えてもいいなと思っただけです.
結果としては,これだけの初速を与えても,到達高度が低いと考えてよいという結果になりましたが.
クロメルさんへ
>いえ,この問題の背景はぜんぜん知りませんよ.
了解しました. #問題の有効数字が若干妙だなと思いまして・・・
>結果としては,これだけの初速を与えても,到達高度が低いと考えてよいという結果になりましたが.
その通りです.バルーン程度ですね. #但し,機構さんのほうで,類似の案件は,今手がけているはずなんですよね. #ま,誤解があったようで,なるべく気を付けるようにします.