砂漠ではなぜ気温が高いにもかかわらず,洋服を着るのですか?
ロビーニョさん,初めまして.
おそらく,砂漠であれば,湿度は低いのだろうと思います.ですから服を着ていて暑くなると,体の発汗作用に続いての蒸発がスムーズに起こり,体温が保たれるのではないでしょうか.恐らく,服の通気性が良いのだろうと推察します.
#私の体験ですが,あるとき「蒸し暑く,日差しの強烈な所で,車から20mほど歩いた事」があります. #そのとき,運転手さんが,キツいですから覚悟して下さいと言われたのを,今思い出しました.
そのうえ,服によりある程度の直射日光が反射される効果もある訳ですよね.砂漠の民は,日光のある時には「白い服」を着用されるのではないでしょうか.
服は断熱材としての働きをするからです. 普通は,気温の方が体温より冷たいので,体温は奪われていくことになりますが, 逆に砂漠では,気温の方が高いので体温は気温により上昇していきます. しかし,熱の移動を防ぐ服を着れば気温による体温上昇を防げます. つまり,服を着た方が涼しい訳です.
zoroさんの発汗をうながすというのは間違いです.クロメルさんの説明が正しいです.
断熱材というのは,(マホービンのように)暖かいものの温度を保つだけでなく,冷たいものの温度を保つことことも出来るわけです.氷を真綿でくるむとなかなか溶けないのはその例です.
Johさん,
>zoroさんの発汗をうながすというのは間違いです.
私は上のご指摘のような記述をしていません.勿論,発汗が結果として体温を下げることに関連するので,体の恒常性機能が,さらに刺激を受ける事は在るでしょうが,そこまでの指摘はしていません.
逆に,どのような事実から,上記の結論に至ったかをご説明願えませんか?
私は,クロメルさんのご意見と,私の意見は並列的なものであると感じていましたので,ご質問の方のご意見を待っているところです.
〜〜〜 今回に限らず,しばしば,私の回答についてのご批判を書かれていますが,批判する以上,明確な理由とか,対立する現象などをお書きにならないと「建設的な論議」が生まれないと思います.
数学というのは,ある意味で「観念の成果」かも知れませんが,物理は「自然現象をどのように解釈するか」が問題です.
判らない現象について,色々な考え方からアプローチして,段々と正しい理解に近づくのが面白いと思います.単に,参考書や問題集を一杯知っていなくとも,論議のプロセスを楽しみながら,正しい答えが得られると嬉しいのです.
>> zoroさん 確かにzoroさんは 「発汗をうながす」 とは書いておられませんが,
> 湿度は低いのだろうと思います.ですから服を着ていて暑くなると,体の発汗作用に続いての蒸発がスムーズに起こり,体温が保たれるのではないでしょうか.恐らく,服の通気性が良いのだろうと推察します.
は,汗の蒸発熱による体温降下を意図しておられるわけで,私も Joh さんのように読んでいた者のひとりです.
> 私は上のご指摘のような記述をしていません.
は,如何なものでしょう.言葉によるコミュニケーションでは,言ったか言わなかったかではなく,相手がどのように受け取ったか,に配慮すべきです.
ところで,『服を着る』 のは,強い紫外線から皮膚を保護する目的もあるでしょう.私は,夏山を歩くとき必ず襟付きのシャツを着ます.首回りが日焼けするととてもつらいので.腕は(首回りに比べれば)割と皮膚が強いので,半袖シャツは着ています.
山旅人さん,
今回発汗について言及したのは,以前,「体温と同じ空気が体にあたった場合でも涼しく感じられるのは何故か」という論議を見た覚えがあるからです.
当時は,水の「蒸発」と「気化」との区別が出来なかったので,とても不思議に感じました.その後,この手の論議が在るごとに調べていて;
・蒸発:水温が100℃に至った水の相全体が気相に転移する. ・気化:大部分の水の相(水温は100℃以下)は保持されていて, 表面の水分子が表面張力を振り切って直接気相に脱出する. しかし,空気中の水分が湿度100%以下でないと気化出来ない.
と考えられるのだろうと思い至りました.その為に,たとえ,体温よりも高い空気が皮膚に衝突する場合でも,その空気の湿度が低く保たれる限り,気化熱を奪ってもらえるので体温の低下を起こす事が可能だと思いました.
とすれば,服の内部でも,適宜に外部の空気と蒸気成分を入れ替えられれば,気化により効率のよい冷却が期待出来ると推測する訳です.
#砂漠の民族の衣装を調べてみたいものです.
勿論,クロメルさんの断熱作用,山旅人さんの遮蔽作用を否定するものではありません.これらの作用の一つとして,発汗作用があると思うだけです.
>ところで,『服を着る』 のは,強い紫外線から皮膚を保護する目的もあるでしょう.私は,夏山を歩くとき必ず襟付きのシャツを着ます.首回りが日焼けするととてもつらいので.腕は(首回りに比べれば)割と皮膚が強いので,半袖シャツは着ています.
自分の経験からも,同じように感じます.砂漠では,直接の太陽光だけでなく,地面の乾燥した砂(その為に白っぽいので反射率も高い)ので,頭から体全体を覆う様な服デザインを採用していると思います.
この状況は,「自動車」と「その中の人間」の場合で考えると,「自動車」のボディは遮光,断熱の効果を持っていると思います.しかし,窓を閉めていたら,とても耐えられないと思います.窓を開けるか,クーラを作動させるかしませんか?
ちなみに,人間の中には,発汗作用の高い人,低い人が在るうえ,発汗作用は意識的に操作出来ない(自律神経支配)と思われるので,「発汗を促す」という記述には,抵抗を覚えました.ただ,生理学の用語を詳しく調べ上げている訳でありません.
〜〜〜 いずれにせよ,論議がアクティブに進む為には,色々な意見を基に,考察を勧め,正しい結果を模索する事だとおもいます.あまりにも簡単に,○×式に結論づけるのは如何なんでしょうか.
>勿論,クロメルさんの断熱作用,山旅人さんの遮蔽作用を否定するものではありません.これらの作用の一つとして,発汗作用があると思うだけです.
私も衣服の働きとしては断熱作用と遮蔽作用であると思います. でも発汗作用がこれらの作用の一つであるとは考えません.こういう表現をしてしまったのが混乱した理由ではないでしょうか.発汗作用は衣服の働きとは直接関係がないことです.むしろ体温調節の基本になっている作用です.この働きがなければ衣服があっても体温の上昇は避けられません.断熱作用だけでは体温を一定に保つことは出来ません.通気性があって完全断熱なんてあり得ないわけですから.
>普通は,気温の方が体温より冷たいので,体温は奪われていくことになりますが,逆に砂漠では,気温の方が高いので体温は気温により上昇していきます.
この文章だと気温が体温よりも高いので大気により温められて体温が上がるという内容になっていると思います.人間は温度36度の物体であるというとらえ方です.人間は発熱体だというとらえ方が入っていないように思います.生きている限り発熱しているのです.周りの温度が体温よりも高い場合でも発熱しています.発汗による冷却作用がなければ体温を維持できません.温度を下げようとしても温度の高い外気にむきだしになっていれば冷却効率が悪いことになります.断熱というのはここで効いてくることです.皮膚との間に隙間を多くとる必要もあります.砂漠で生活している人が全身をすっぽり覆うだぶだぶの服を着ている理由だと思います.通気性は水蒸気を外部に出すために必要です.でもその分,外部の温度の高い空気が入ってくるというのも避けられません.汗の気化による冷却効果に余裕があればこれはしのげます.
人は寝ているときでもコップ一杯分ぐらいの水分を発汗と呼吸で(発汗だけだったかな?)失っているという記事を読んだことがあります.安静時でもこれだけ汗をかくということは基礎代謝でのエネルギー消費の大きさと結びついていると思います.起きて活動していればもっと発汗量は多いでしょう.
冷却に効果があるのは気体の汗だけです.流れる汗は効果がありません.無駄に体内の水分を失うだけです.ダラダラと汗をかくという結果になるような体の動かし方をしないという注意も必要だということになります.
zoroさんへ
気化と蒸発について
物質の状態変化(三態変化)は中学校,高等学校で出てきます.
「液体から気体への変化を何と呼んでいるか?」
気化でしょうか,蒸発でしょうか,沸騰でしょうか. これは混乱しています.
日常での素直な使い方で考えます. 「沸騰」はハッキリしています.ぼこぼこと泡を出しての変化です.泡が出ていない時に沸騰しているとは言いません. 「コップの中に残っていた水がいつの間にかなくなってしまっていた」という場合の変化をなんと言うのでしょう.液体が変化して出てくる気体を蒸気vaporと言います.蒸気を出すという意味で「蒸発」でいいのではないでしょうか. 液体が気体になる現象は2つあることになります.そこで合わせて気化と呼びます.沸騰は液体の表面と内部からの両方で気体になる現象です.内部で気体になるというのが泡として観察されます.沸騰の温度以上では液体は存在しません.蒸発は液体の表面からだけで気化が起こります.液体の全温度範囲で起こります.
私は上のように使ってきました.気化と蒸発を逆にする考え方もあると思います.その場合は蒸発の方が気化よりも広い意味になります.いずれにしても言葉は3つ必要です. ところが2つあればいいという立場があるようです.液体表面で起こる現象を表す言葉が沸騰も含めた一般的な変化をも表すということになります.
混乱はここからです.
文部省の学術用語集の「化学」を見てもらうと「気化」が見あたりません.「物理」を見てもらうと気化が載っています.「機械工学」を見ても載っています.
化学の教科書では気化を使うことが出来ませんので蒸発と沸騰だけで液体から気体への変化を表さなければいけなくなりました.蒸発は液体表面からの気体への変化を表すと同時に液体から気体への変化の一般的な名称だということになってしまいました.沸騰では泡の中への蒸発が起こっているという説明が書かれています.私は苦しい説明だという印象を持ちました.
zoroさんの書かれている蒸発は沸騰の意味ですね. 蒸発は沸騰を含めた一般的な意味に使うことはあっても沸騰だけの意味で使うことはないと思います.
沸点は外圧によって変化します. 飽和蒸気圧が外圧に等しくなる温度です.これは生じた泡が消えずに持続する条件で説明することが出来ます. 水の沸点が100℃というのは外圧が1気圧の場合です.標準沸点といいます.