太陽電池の発電量と光の強度について

太陽電池の発電量と光の強度について

はるき さんの書込 (2007/07/12(Thu) 06:05)

はじめまして.自分でネットで調べましたが,なかなか良いサイトが見つかりませんでした.どうか質問宜しくお願いします.

太陽電池の発電量と光の強度の関係について,ですが,たとえば,多結晶シリコン太陽電池の場合,たしか,800nmの波長の光を,より多く吸収して発電すると思います. そこで質問ですが,どのくらい小さなエネルギーの光であれば,発電するのですか?つまり,一番変換効率の良い800nmの波長の光なんだけれども,すごく小さな光の場合など,どうなるんでしょうか?つまり,800nmの光を,昼間,ジリジリっと太陽電池に当てれば,発電するというのは分かりますが,ちょろちょろっと800nmの光を当てる場合と,どう違うのでしょうか?ただ取り出せる発電量が変わるだけで,光から電気への変換効率(であってますか?)はどちらも変わらないのでしょうか?

また,太陽電池として使うには,最低,これだけの強度の光でなければ駄目!という基準のようなものはありますか?たとえば,5(ミリカンデラ/平方cm)では,たとえ800nmの波長の光であっても無理!,最低60は無いと駄目!!というような基準などがあれば教えていただきたく思います.

お忙しいこととは思いますが,どうぞ宜しくお願いします.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

zoro さんのレス (2007/07/12(Thu) 15:47)

はるきさん,初めまして.私もこの分野に疎いので,検索した結果をもとに少し書いてみます.

「太陽電池 wikipedia」で見ると; ・ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E9%9B%BB%E6%B1%A0

の中に,二つの図が見えます. ・図1pn接合における光起電力効果 ・図2太陽電池の電圧-電流特性

私は,アモルファス型とか難しい事は知りませんが,ダイオードに見られる「pin」が基礎的で,その概略は図1の(1),(2),(3)で表現されているのだと思います.p型とn型の半導体が接合すると,それぞれのフェルミ準位が等しくなるように,その間に電子・ホールが再分布し,荷電体が存在しない空乏層,そこを横切るポテンシャル勾配が出来るのだと思います.

その状態に外部から光が入射して,少なくとも,図1-(3)の内蔵電位差より大きなエネルギを持つ光なら,図1-(4)に示されるように,

・「荷電帯のトップの電子」を「伝導帯のボトムに叩き上げ」, 叩きだされた電子は,負極から外部に出て行く.

・と同時に「荷電体のトップで電子を取られたホール」は, 正極に外部から戻ってきた電子と結合して消滅する.

従って,太陽電池の大雑把な起電力は,それぞれのフェルミ準位の差より大きくなれないのだと思います.逆に考えれば,負荷の駆動電位がそれよりも高かったら,太陽電池を直列にするとか,DC-DCコンバータなどがいるかも知れませんね.

他方,興味をもたれている微弱光の場合,電流は,外部光により生成される「電子・ホール」対の数に支配されると考えていいでしょう.いま,光を800nmのように,単色だとすれば;

太陽電池電流 〜 空乏層の面積 * 外部光子の単位時間あたりの流入量 * 空乏層の厚 * 外部光子の電子・ホール対の生成断面積 * 荷電帯のトップの電子密度

から計算出来るとおもいます.

従って,微小電力負荷のでは,発生電圧が足りるかどうかだけが問題だと思います.

他方,電力負荷が大きくなって来ると,図2のように,負荷電流によって,出力電位差が大きくなってるので,負荷特性を知る必要があります.このような計算の仕方を,私は知りません.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

はるき さんのレス (2007/07/16(Mon) 00:20)

ありがとうございます.あと,返事遅れてすみません.

また質問なのですが,昼の光を吸収して夜でも光る蛍光体がありますが,このような光でも発電はするということでしょうか?よく,時計の針などで緑色に光る物質のことです.緑色は波長が500nm前後と思いますので,太陽電池発電のための波長には合致してると思います.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

zoro さんのレス (2007/07/16(Mon) 05:30)

>昼の光を吸収して夜でも光る蛍光体がありますが,このような光でも発電はするということでしょうか?

原理的には可能と思います.しかし,大きな電力を作れるかどうかは,別問題だと感じます.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

はるき さんのレス (2007/07/20(Fri) 02:11)

早い返信ありがとうございます.

時計の指針などに使われており夜になると光るやつは,長残光蛍光体というらしいのですが,これは昼間の光を吸収して,ゆっくりゆっくり放出してるらしいのです.作り方は,ある材料(母体材料というらしい)に,希土類をドープして作られるようなのです.その希土類が短波長の光を緑色の波長の光(時計の指針の場合)に変えてるようなのです.

質問? それで質問なのですが,長残光蛍光体が,光をゆっくりゆっくり放出する原因は,母体材料による,ということでしょうか?

質問? もし?の認識でよいのなら,そのゆっくりゆっくりの放出,もっともっとゆっくり

(知る限り,長残光蛍光体に昼間の光を100当てて吸収したとすると,その後1分くらいで80のエネルギーを放出して,あとは,8時間くらいかけて,残り20のエネルギーを微量づつ放出するという感じなのですが,これでは夜に太陽電池で発電させるには,夜になることにはものすごく微量になってしまうんです.なので理想は昼間の2時に光のエネルギーを吸収しても,夜になる5時間後あたりに一気に放出するようなものです.)

にさせる母体材料or長残光蛍光体の作り方などご存知であれば教えていただきたく思います.

質問? このような作り方に関することは化学系のように思う部分もあります.もしご存知なら,化学系でここのサイトのように質問などがし合えるようなサイトをご存知なら教えていただきたいです.

お忙しいことと思いますが,よろしくお願いします.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

はるき さんのレス (2007/07/20(Fri) 03:02)

少しわかりにくい文章だった以下の部分を修正します.次回以後,きちんとパスワードを利用します.

>(知る限り,長残光蛍光体に昼間の光を100当てて吸収したとすると,その後>1分くらいで80のエネルギーを放出して,あとは,8時間くらいかけて,残り>20のエネルギーを微量づつ放出するという感じなのですが,これでは夜に太陽>電池で発電させるには,夜になることにはものすごく微量になってしまうんで >す.なので理想は昼間の2時に光のエネルギーを吸収しても,夜になる5時間後>あたりに一気に放出するようなものです.)

昼間の光を長残光蛍光体に,仮に100当てて吸収させるとします.すると,私の知る限り,その後たったの1分くらいで,100のうち80くらいのエネルギーを放出し,残りの20のエネルギーを,8時間くらいかけて放出するという感じなのです.これでは,夜になる頃には,ものすごく小さな光しか放出できない,ということです.なので,理想は昼の14時のもっとも日光の照りが激しい時間に,思いっきり,光を吸収して,その後,夜になる5時間後あたりにその吸収したエネルギーを一気に放出させるようなものが理想なんですが,現実不可能でしょう.しかし,ここまで理想的なものでなくても,たとえば,100のエネルギーをもっと長時間にかけて,つまり,3時間後でも30くらいの放出エネルギーがあるようなもの(私の知る限りでは1分で80を放出してしまう)など作るのは不可能ですか?夜に発電きるような太陽電池は実現可能でしょうか?

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

zoro さんのレス (2007/07/20(Fri) 08:37)

蛍光現象に詳しい訳では在りませんが,仰られている現象は,比較的寿命の短い励起準位と,それが崩壊した先の比較的に寿命の長い準位からの崩壊みたいなのだろう,と思います.絵にすれば; <pre>

━━┯━━━━┯━━━━━ 励起準位2,エネルギE2,寿命時間τ2 ↑↓ ││ ││ ││光子2→1 \hbar \omega_{2 \to 1} =(E_2 -E_1) ││ ││ ││ ││ ││ │━━┿━━━━━ 励起準位1,エネルギE1,寿命時間τ1 >> τ2 │ ↓ ││ ││光子1→0 \hbar \omega_{1 \to 0} =(E_1 -E_0) ││ ││ ━━┷━━━━┷━━━━━ 基底準位0, エネルギE0

励起光子0→2 \hbar \omega_{0 \to 2} =(E_2 -E_0)

</pre>

で,このような物質は,シンチレータと言う分野だと思います.

一般的に,蛍光は,蛍などの生物が,「位置情報の交換媒体」などに使っており,パワーの担い手とするには無理が在るようにも感じます.

やはり,植物の炭酸同化作用を用いたエネルギ保存とか,励起準位から電子移動により電池での蓄電に廻すような機構があれば,パワーのあるエネルギ源には有用な気がします.

勿論,非常時のラジオ用電源みたいに情報系のエネルギ源には最適かも知れませんね.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

はるき さんのレス (2007/07/21(Sat) 21:34)

丁寧なご回答ありがとうございます.

またまた質問で申し訳ないんですが,

太陽電池は,なぜ夜発電しないのか?

について,調べてるのですが,なかなか良いサイトにめぐり合えません.月明かりのスペクトル図,光量グラフなどなどを探してるのですがなかなか見つかりません.そもそも,そういう図を見つけたところで 答えを出せるかどうか,疑問です.

調べた限り,以下のサイト(天文台のHPなので正しいと思います)によると, (すごく重くて申し訳ないんですが, )

'%E5%A4%9C%20%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%20%E3%82 %B9%E3%83%9A%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB'

>月明かりや新月の夜光でもスペクトルは太陽光 >のそれと大差ありません.

と書いてあります.光の量は昼に比べて格段と下回ると思いますが, スペクトルが大体同じなら,微小電力は発生するのではなのいですか? あるいは,発生はしてるが,あまりに低電流すぎて,使えないということでしょうか?

あと,シンチレーターに関しては,放射線の波長を変換するもののことらしいです.しかし,蛍光体も波長変換という観点では同じように思いますので,変換する波長によって,区別されてるのかも知れません.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

yama さんのレス (2007/07/21(Sat) 22:21)

満月の明るさは太陽の40万分の1くらいなので,発電できたとしても昼間の電力の40万分の1くらいの電力しか得られないでしょう.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

篠原 さんのレス (2007/07/23(Mon) 01:44)

余談ですが,「蓄電機能のある太陽電池」も研究されてたと思います. 蛍光体や月の光で夜間に発電するよりも,よっぽど効率が良いと思います.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

はるき さんのレス (2007/08/26(Sun) 20:17)

お忙しい中,質問にご回答いただきましてありがとうございました.

Re: 太陽電池の発電量と光の強度について

はるき さんのレス (2007/09/23(Sun) 05:30)

質問よろしくお願いします.m(_ _)m

「太陽電池が何%効率化しました」

とかいうニュースなど流れてますが, その実験方法は,

の図のように,一定の人工太陽光(実際は太陽光の強度は時間と共に変化するでしょうが)を当てて(5分とかでも良いのでしょうか?),それにより発生する一定の電流値と抵抗から電力を計算して,新旧の太陽電池の効率を比べてるのですか? 実験装置見たことありますが,配線がぐちゃぐちゃで分かりづらかったんですが, その回路はこの図くらい単純なのですか?