演習問題そのままです.
「半径a,長さb,単位長さあたりの巻き数nのコイルに電流Iを流したとき,コイルの長さ方向と半径方向にかかる力を求めよ.コイルの自己インダクタンスL=πμ0(n^2)(a^2)bは用いてよい.」
ここでいう力とは,何から何に働く力を求められているのでしょうか. 磁場から電子に働く力でしょうか.
与えられたヒントでは, コイルのエネルギーU=(1/2)LI^2 をa,bそれぞれで微分せよということでした. このヒントから察すると,コイルを外力により変形させようとしたときに,それを妨げようとコイルに働く力でしょうか.
それから, (1/2)LI^2 を長さで微分することで,その方向の力が求まるのはどうしてでしょうか. Φ?I=LI?Iを0からIまで積分して(1/2)LI^2を導出するわけですが,その導出過程においては長さはでてきていません.
よろしくお願いします.
けんさん,はじめまして
計算云々は面倒なので解説しませんが
>Φ?I=LI?Iを0からIまで積分して(1/2)LI^2を導出する
がエネルギーの単位を持つ理由,またはΦ?I=LI?Iを正しく導出できますか? この式はコイルに蓄えられる磁気エネルギーであるとともに, 電流による"仕事(W)"を表現した式でもありますので
W = ∫Φ?I = 1/2*LI^2
と置けば
W = ∫F・dl (F:力,dl:線素)
なので
F = ∇W = ∇(1/2*LI^2)
= ((1/2*LI^2)のr方向微分,(1/2*LI^2)のコイルの長さ方向の微分)
となり,距離微分が必要になるのではないのでしようか? 電磁気というよりもエネルギーが分かっているので力学の問題ですね. 参考になれば嬉しいです.
コイルは自分自身の作る磁場で,自分自身に力を作るということのようですね. 個人的にはxy平面にあるコイルは,電線のあるところでz軸方向の磁場の向きを変えますから,ちょっと気持ち悪いと思いました.あ,でも微分すれば確かに出くるのか.
説明しますと,電流が流れるコイルはエネルギーをもちますが,そのエネルギー が半径に依存するときは,半径方向の長さを変えることによって,エネルギーが変わってきます.
どの方向に力が掛かっているか僕は考えていないので分かりませんが, 半径方向にエネルギー依存性があるということは,半径を変えた(押した)時に どれだけエネルギーが変化するか,変化の割合がコイルの周方向あたりの単位長さ にかかる力になります.言い換えると,リングを広げたり,縮めたりするとその時かかっている力を通して,コイルのエネルギーに変わります.
数式を使った説明はうまく考えられませんでしたが,このような考え方はよく使いますよ.
たとえば,平面板コンデンサーに蓄えられるエネルギーは板間の距離に依存しますから,エネルギーを距離で微分すれば,コンデンサー間に働く力になるってご存じありませんか?(これは,コンデンサーの回路を切断したときに働く力になります.電源をつないだままだと,電源がする仕事が関係してきてややこしくなります.)
あんまり役に立てなくてごめんなさい.
keiさん,クロメルさん,解説ありがとうございます. 力学やコンデンサーと同じだとは思っていたんですが,コイルに仕事をする,もしくはコイルを変形するというのがうまくイメージできていなかったくようです. ありがとうございました.
追加質問です.
半径方向には広がる方向に,長さ方向には縮む方向に力が働いていることがわかりました.しかし,電流を流していたらコイルの半径が大きくなり,長さは短くなってしまうというのは物理的イメージとは違う気がします.では,この力は,どのような力とつりあっているのでしょうか.よろしくお願いします.
うまく説明が伝わってよかったです.
半径方向には広がる力ですか.そういえば,大電流を流して壊れたコイルを写真でみた事がありましたが,無理に広げられた様な変形をしていましたっけ.
さて,新たな疑問とのことですが,コイルを変形させるのには力が要りますよね.導線を弾性体と見なしてやれば,力は変形につかわれているのではないでしょうか? つまり,電流を流している間は導線にテンションがかかっていると言うことだと思いますよ.
長さ方向の力は,密度nも変わってしまうような気がするので,ただbで微分するだけでいいのかなと思いました.
総巻き数N=n・b より,n=N/bですから,nもbに依存しますよね.
もし,それを考えての結果だったらごめんなさい.
けんさん
磁力線の束,磁力管(正式な名前で無いかもしれないですが)をイメージしてみましょう.
磁力線を管のように配置できるように選ぶと,言い換えると磁束密度が同じ値になるような位置の磁力線だけを選んでサンプルすると,おそらく幾何的にはコイルの形状に依存して相似な形になるのがイメージできますか?
要するに磁力線はほぼコイルの形状と同じです.クロメルさんが
>半径方向には広がる力ですか.そういえば,大電流を流して壊れたコイルを写真でみた事がありましたが,無理に広げられた様な変形をしていましたっけ.
と現象で提示されておられますが,もしコイルの材質が(電気伝導の面でなく,機械的な強度の面に関して)ゴムのように伸縮性があり,好きなだけ変形できるなら,磁界によるコイルの形は,歪んだ磁力管の形状と相似になるのではないでしようか?
磁力管は,有限の長さで切り取ってやれば風船みたいなもので,両手を使って上下(磁力線に沿った向き)から押さえてやると,風船の中の空気は手で押さえられていない(半径)方向に逃げようとしますよね? 逆に上手に半径方向に風船を引き伸ばしたときの,磁力線方向の風船の変位を考えてみたら電磁界におけるこの問題と同じイメージで結びつけることができるのではないでしようか? 手で引っ張ったりする代わりに,けんさんが計算で導出した磁気力で引っ張るわけです.
つまりけんさんが導いた力というものは,磁力線を変形するために用いられると考えられます.力の釣り合いを考えるなら,この変形を打ち消すように働く力だろうと思います.
>クロメルさん お返事ありがとうございます.現象としても広げられて壊れるんですね. 総巻き数ですが,考慮して微分しました.
>keiさん 解説ありがとうございます. 風船やゴムのおかげさまでイメージをつかめました.
実際,半径方向には広がる方向に,長さ方向には縮む方向に力が働いているわけですが,外力を加えてコイルの変形を防がないと,コイルは壊れてしまうということなのでしょうか?
こんにちは. 超伝導コイルなど,強大な電流の流れるコイルでは将に電磁力で壊れると思います.昔私も写真でみたような. 下の記事など,「超伝導破断」などでググルといろいろ,出てきそうです.