以前から「SI単位系」について不思議だと思っている事が2つあるので,書いてみます.
(1)「SI単位系」のことをなぜ「SI」と略称するのか?
読んで字の通りの疑問です.英語と仏語の違いだけの問題でないように思います.仏語だと略称は二文字に限るといったことでもあるのなら別かもしれませんが....
(2)質量の基本単位は「kg」とするのは,歴史的盲腸ではなかろうか?
2007年度版の理科年表の後ろの内表紙にある「おもな質量(kg)」数直線を眺めています.それを引用させて戴きますと;
・最小の目盛りは「 」で,至近事例は「電子の質量」 ・最大の目盛りは「 」で,至近事例は「銀河系の可視総質量」 ・基本単位の目盛りは「 」で,至近事例は「日本人成人男性の平均脳質量」
このような事例しかない現在において,「kg」が日常的な基本単位と考える必然性は,現在だけでなく,遠い将来に置いてもないと思います.
また,接頭辞「 」だと思いますが,その接頭辞にさらに10の冪乗を付けるのは重複も甚だしいと思います.
〜〜〜〜 なんといっても,紅茶の茶碗にいれるお砂糖の重さは数gでしょうし,一円や1セントの硬貨も,gのオーダではないでしょうか?
ですから,上に引用した例は;
「おもな質量(g)」数直線を眺めています;
・最小の目盛りは「 」で,至近事例は「電子の質量」 ・最大の目盛りは「 」で,至近事例は「銀河系の可視総質量」 ・基本単位の目盛りは「 」で,至近事例は「典型的な角砂糖1つの質量」
などとした方が素直だと思います.
なお,p831の「ヒト器官(臓器)・組織重量...」の表に於ける「平均値」の単位は「 」で記載されております.
(2)について僕の思ったことを書きます. メートルと水の密度に基づいて決められたのがgですよね. これは日常生活で扱うものを数値的にちょうど良くなるように決めたのではないでしょうか.
一方,力学的に考えて基本的な重さは,ニュートンの第二法則なのでしょう. 力学台車は1kgくらい無いと,加速度の測定が不可能だからでしょう.
ご意見,有り難うございます.
>メートルと水の密度に基づいて決められたのがgですよね. >これは日常生活で扱うものを数値的にちょうど良くなるように決めたのではないでしょうか.
恐らく,そう思います.でも,ちょっと違うと思います; ・センチメートルと... だと思います.
>力学台車は1kgくらい無いと,加速度の測定が不可能だからでしょう.
と思います.でも,現代技術では,ナノ・サイズの台車を駆動させようとしている研究者には, ぐらいの質量を相手にするわけですよね.それを と書くのには抵抗が在ります.
要は,どのような単位を選んでも,使う人の興味領域によって,指数関数的に数値は変動するのですよね.勿論,単位系が出て来るときの状況によって,1kgが自然な時も,1mgが妥当な時もある.
従って,質量の基本単位はあくまで「g」とし,組立単位の定義には「kg」を使っても良いよ,と考え直せばいいようにも思えます.
>現代技術では,ナノ・サイズの台車を駆動させようとしている研究者には, ぐらいの質量を相手にするわけですよね.それを, と書くのには抵抗が在ります.
ああ,それは確かにそうですね.僕も気持ち悪いと思います. 僕の専門分野が,固体物理や量子力学などなので,よくオングストロームとか エレクトロンボルトとかを使います.これは原子単位っていうのかな?これはSI単位系ではないですけど,やはり扱うスケールによってはSI単位だけが絶対ではないと思います.
ここから先はもしかしたらzoroさんと違う考えになってしまうかも知れませんが, 単位は数字部分を書いたとき,10の-2〜2乗で表せる単位を使うのが一番だと思います.
>僕の専門分野が,固体物理や量子力学などなので,よくオングストロームとか エレクトロンボルトとかを使います.これは原子単位っていうのかな?これはSI単位系ではないですけど,やはり扱うスケールによってはSI単位だけが絶対ではないと思います.
あっ,オングストロームは使う時には思い出すのですか,すぐに忘れてこまりましたね.やはり,0.1nm ないし 100pm と表記してもらいたいものですね.
他方,電子ボルトがSI単位系に入らないのを今更ながらに気づきました(笑).
電子ボルト@Wikipedia
でも,良く読むと; “特殊な分野に限り併用してよい単位” だそうで,ほっとしました.
#上記の資料に「主な利用場面」に,自分が日常的に使っている事例が,全て書いてありました(爆笑).
>単位は数字部分を書いたとき,10の-2〜2乗で表せる単位を使うのが一番だと思います.
接頭辞が基本的に, ステップであるので,お説の通りだと思います.
ただし,例外としては,あるデータを比較検討するような場面では,接頭辞を固定して表を書く様な場合が在ります....
【追伸:eV】
やはり近年の量子力学,素粒子・原子核,物性物理などでの利用の度合いを考えれば,SI単位系でも,正式な組立単位として,認定した方が自然であると思います.
このような分野で,日本語で論議出来る様な所があると善いと考えますが....