高校の問題集でわからない問題があったので投稿しました. 地上における周期が2秒である振り子時計を高さ1000mの山頂に持っていくと,1日にどれだけ遅れるか,地球の半径を6370kmとする. という問題なのですが,私は地上での周期をT,山頂での周期をT'とおいて1日にt秒遅れたとすれば山頂での1日の振動回数が地上での(24×60×60−t)秒間での振動回数に等しいと考え (24×60×60)/T'=(24×60×60−t)/T という式を立ててtを導こうとしたのですが解答書は (24×66×60+t)/T'=(24×60×60)/T になっていました.なぜ解答のような式になるのかわかりません.どなたかわたしの考え方の間違いを指摘してください.
時刻の遅れとは「正しい時刻」からの遅れをいいますね.一日における遅れを知るには「一日」を正しく測らなければいけません.これは地上の時計で測るものです.めそさんは山の時計で一日を規定していませんか?
めそさんの式が正しいと思います. 山頂の時計が1日にt秒遅れるのいうのは,真の時間(地上の時計で計った時間)が1日経過したとき,山頂の時計では1日よりt秒短い時間しか経過していないということだと思います.しかし,この場合のt秒は山頂の時計で計った時間であって,真のt秒(地上の時計で計ったt秒)ではないと思います.
めそさん,初めまして.
すこし回り道をしてみます.
質量mの物体が地表よりhの高度で,地球から万有引力で引かれている場合を考えます.地球の質量M,地球の半径R,物体が引かれる力F(h);
F(h) = mMG/(R+h)^2.
ここで,Gは万有引力常数です.高度hでの重力加速度を g(h)とすると,
F(h) = m・g(h),
ですから,上の2つの式を比較して;
他方,高度hに振り子をもっていっても,糸の長さが変わらず,微小振幅の運動とするかぎり,振り子の周期T(h)は,
T(h) ∝ g(h)^(-1/2) = [{R/(R+h)}^2・g(0)]^(-1/2) = (1+h/R)・g(0)^(-1/2).
そこで,
T(h):T(0) = 1+h/R:1 = 1+h/R,
ですね.
今,題意より,T(0)=2sですから,N(0)=24*60*60/T(0)回振り子が振れた時に24h経過する訳です.よって,高度hで振り子がN(0)振れたときが,見かけの1日ですから,「T(h)*N(0)-24h」が遅れ時間だとおもいます.
でも,自分でしたら,一周期が1日と長い設定,T(0)=24hを考えて;
遅れ時間 := [T(h) - T(0)]_{T(0)=24h} = (h/R)・[T(0)=24h] = (1km/6370km)*24*60*60s.
としてしまうような.
ううむ.山頂の時計が1日で23時58分相当の回転をしてれば2分おくれとおもっていました....ミスった.
でも,yamaさんの説明は解答書を指しているようにしか思えません...
別の考え方をしましょう.時間の遅れを
で定義しましょう.すると,
となりますね.(解答書)
ここで
と定義してみましょう.これは針の回転速度のズレの比から出したものです.
これから計算すると
になります.(めそさん)
時間の遅れとしては最初の定義 が自然な感じですね. (どちらが適切かは...わかりませんが.)
>山頂の時計が1日で23時58分相当の回転をしてれば2分おくれとおもっていました....ミスった.
私もそのように考えていました.日常用語としての時計の遅れは普通はこのような意味に用いられるのではないでしょうか. たとえば,正午の時報で時計を合わせておき,翌日の正午の時報がなったときに,時計が11時58分を指していれば,その時計は1日に2分遅れると言うのだと思います.toorisugari no Hiro さんの2番目の定義がこれですね. これに対して,時計が翌日の正午を指したときの実際の時刻が12時2分であったとき,その時計は1日に2分遅れると考えることもできそうです.toorisugari no Hiro さんが自然な感じだとされている定義やzoroさんのお考えはこちらのようですね.
今回の問題を前者の考え方に基づいて考察すると次のようになります. 地上の時計で24×60×60秒経過したとき,山頂の時計では(24×60×60−t)秒しか経過していません.ただし,地上の時計で計った1秒は山頂の時計で計った1秒とは異なるので,区別するため後者を1「秒」で表すことにします. そうすると24×60×60秒=(24×60×60−t)「秒」になります. 秒や「秒」はそれぞれ地上及び山頂の振り子の周期によって定められる時間の単位であり,T=2秒,T'=2「秒」です. これらの関係を用いると,めそさんが書かれた関係式が導かれます.
追記:後者の考え方では,(24×60×60+t)秒=24×60×60「秒」 となるので,問題集の解答のようになりますね.
ご指摘してくださった皆様ありがとうございました.まだ皆様の指摘にざっと目を通した程度で完全には理解できていませんが,とても助かりました.これから解答を再考してみようと思います.
たかが,時計の遅れといえども難しいですね.
もっとも,この問題ではどちらの定義で計算しても遅れはほぼ一緒(有効数字3桁)になるので,どちらで考えても正解だと思います.
【背景の説明】
私は「振り子時計」と拝見したとき,「フーコー振り子」をイメージしてしまいました.いくつかのスレッドに関係して,「コリオリの力」「周期現象」などを知りたくなって,同名の本を拝見したからです.
そこで,一番原始的な時計としての「振り子」を考える時には,「周期の数」をベースに考えるのが基本(ある意味,デジタル表現)ではないかと思いました.
このように考えたのは,以前のスレッドに「木星の第一衛星,イオが木星を2日弱で公転する時,地球からみていると,イオが木星の影からポット出現する」という劇的なシーンを拝見した事が,今でも強い印象として残っているからです.
他方,文字盤付きの指針時計というものは,時間を角度に変換して表示する訳で,ユーザ・インタフェイスとすれば,とても直感的なアナログ表現を達成したことなのですね.きっとこの時計を思い浮かべた方と,振り子ダイレクトを思い浮かべるかで,考え方に差が出るのかも知れません.