乾電池の起電力について

乾電池の起電力について

えり さんの書込 (2007/04/23(Mon) 00:13)

こんばんは.乾電池の起電力について質問させて下さい.

乾電池の起電力は劣化すると低下しますが,逆に起電力が上がることはありますか?あるとしたら,乾電池は直流電圧であるのに,なぜ,上がったり下がったりするのでしょうか…

例えば1.5Dの乾電池を買ってきたとすると,ぴったり1.5Dではなく,1.6Dであったりするのでしょうか.そんなことってあるのでしょうか.

ちょっと疑問に思ったので質問させていただきました.宜しくお願いします.

Re: 乾電池の起電力について

佑弥 さんのレス (2007/04/23(Mon) 08:35)

はじめまして,佑弥といいます.

乾電池の起電力があがることがあるのかは知りませんが, なぜ下がるかについて,定性的に説明します.

高校でやるように,化学電池というのは,二つの溶液に 金属板を接触させることで,各溶液と金属の間で酸化還元 反応をしますから,閉回路を作れば電流が流れます. ここで電池による起電力は,溶液の種類や金属板によって 変化するのですが,もう一つ重要な役割をするのが,溶液 の濃度です.(同じ溶液でも濃度差によって起電力を生じ させることができますよね.)

一般に電池を使うと,化学反応することで溶液濃度が変化し て,電池が劣化してしまいます.(充電電池などは,逆反応 を起こすことで溶液の濃度を元に戻し,起電力が回復します.)

劣化した電池がほっておくと,起電力が少し回復していること もありますが,これはおそらく逆反応が少し進行していることに よるのではないかと思います.(新しい電池が元々の起電力より 大きい値を示すのかは不明です.)

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/04/23(Mon) 14:40)

佑弥さん,初めまして.判り易く,良い解説と思います.歯切れよく楽しい論議を期待します.

えりさん,学校には慣れてきましたか?いよいよ本格的な論議ができますね.

〜〜〜〜 大昔の模型少年の頃の記憶を基にコメントします.

いまから50年ほど前,木でつくった船やグライダの模型を作っていました.船の動力はマブチ・モータ,電源は単1か単2の乾電池だったと思います.一定距離を速く進めるのに苦労しました.

当時の電池はすぐ性能劣化を起こしましたが,経験的に,連続使用をさけると回復したように感じていました.小中学生にはテスターのような計測器具を持てる訳も無く,何となく,電池と筋肉は似ているなと思っていました(笑).

最近は,乾電池を動力源とすることはまれで,充電式の電池が多いので,実感が涌き難いですが,乾電池のばあい,高負荷で連続使用をすると起電力が低下するのだろうと推測します.その意味で,起電力の低下はおこると思います.

他方,「高負荷で連続使用後の回復」も経験的にあるとおもいます.私の推測では,「溶液中の濃度分布に部分的な変動が起り,使用停止により,自然な拡散により,その濃度分布がフラットに戻るため」では無かろうかとおもいます.

また,通常の電気化学的な反応は,教科書にのっている反応だけでなく,各種のサイド・リアクションがおこり,中には反応生成物が電極表面と電解質との接触をさまたげるといった事により,起電力の低下や,大きな電流出力を阻害するようなことも在るかもしれません.

少なくとも,電池の起電力は,金属固有の電位差,温度と溶液の濃度の対数で決まってしまうので,その理論的な電位より,下がる事はあっても,それを上回る事はないと思います.

Re: 乾電池の起電力について

えり さんのレス (2007/04/23(Mon) 19:17)

佑弥さん,zoroさんありがとうございます.

>えりさん,学校には慣れてきましたか?いよいよ本格的な論議ができますね.

最近やっと慣れてきたという感じです.この間電気実験を行ったのですが,電池の起電力を観測したとき表示値を上回っていたので質問しました.

うーん.では起電力が表示値を上回ることがないというならば,観測ミスということでしょうかね(^^;)

確かに佑弥さん,zoroさんのいうとおり,乾電池の電圧が回復することは経験的に理解できますね・・・ 実際の商用電圧波形が決してきれいなサインカーブでないように,直流電圧も必ずしも一定とは限らないとも似たことなんでしょうかね?

回復の原理はお二方の助言で感覚的に理解できました.どうもありがとうございました.

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/04/23(Mon) 21:16)

>起電力が表示値を上回ることがないというならば,観測ミスということでしょうかね(^^;)

あっと,この「表示値」がなにによるかにも依ります.

この手の場合,平衡電極電位(差)はネルンストの式によって表せます.私のいった上限は,この式を用いた値をイメージしました.ところが,市販の乾電池では,実際のバラツキを基に決めているので,恐らく,表示値は,実際より低めにしている可能性が予測されます.でも,今の所,確証はありません.

>実際の商用電圧波形が決してきれいなサインカーブでないように,直流電圧も必ずしも一定とは限らないとも似たことなんでしょうかね?

これは少し性格が異なる問題とおもいます.商用AC電源には,各種の並列負荷や,多くの電源との相互誘導などがあります.実験で,早朝になると不思議と系統的に電源変動や,ノイズの発生が増えたのを確認しました.その原因は,なんと近くを走っている始発電車であった事が判りました.

そこまでしなくても,精密測定の回路の電源に,インダクタンス負荷(電気モータなど)を入れないようにしましょう.

〜〜〜〜 >最近やっと慣れてきたという感じです.

こういうのも若さの特権ですから,新しい経験を楽しんでください.

Re: 乾電池の起電力について

komagatake さんのレス (2007/04/24(Tue) 11:25)

電池全体について書くだけは理解していませんので中途半端になると思います.

乾電池の1.5Vという起電力は公称電圧といいます.買ったばかりのものでは1.6Vになるものもあるようです. 濃度,温度等によっていくらか変わるので公称起電力という表現になるのでしょう.(起電力の値を探したのですが今のところ見つかりませんでした)

マンガン電池,アルカリマンガン電池,酸化銀電池は皆公称電圧1.5Vです.でも電極反応が異なりますので同じということはないはずです.

起電力は負荷のない状態で測った電圧です.電流が流れると電圧が下がりますのでブリッジ回路を使って測ります.

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/04/24(Tue) 13:33)

>乾電池の1.5Vという起電力は公称電圧といいます.買ったばかりのものでは1.6Vになるものもあるようです.

なるほど「公称電圧」とは巧い言い方ですね.検索するとウィキペディアで;

といった記述を拝見しました.

確かに,理論起電力みたいな値は,ネット上には明示的に書かれていません,意外ですね.水溶系の話は,いつも狐に化かされているようで苦手です.

追伸:

電池の知識:電池年表|社団法人電池工業会

乾電池の歴史を拝見すると,日本人が初めに携帯型を製作したようですね.国民性なんかも知れません.

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/04/24(Tue) 18:31)

手元に単3の使い古したアルカリ乾電池がころがっているのに気づいたので,マルチメータで測定してみました.

古アルカリ乾電池:1.498V 新アルカリ乾電池:1.623V

この古い分は,どれほど使ったか判りませんが,場所から推定して「デジタルの目覚まし時計に使っていた」と思われます.従って,低負荷・長時間使用と推定.

使用したマルチメータは,入力インピーダンスが1MΩだと思いました.

マニュアルが出て来たので訂正します; >10MΩ,<100pF.

Re: 乾電池の起電力について

えり さんのレス (2007/04/25(Wed) 15:16)

しばらく拝見しないうちに,なにやらおもしろいことになっていましたね!! やはり,乾電池に「1.5v」と書いてあっても買ったばかりはそれを上回ることはあるのですね!! ただ今回の実験では「9v」と記載していたものに対し,デジタルオシロスコープが「9.6v」を観測していました・・・;(目測ではありません,本当に画面の表示は9.6vだったのです・・・) これはちょっと公称電圧だけでは説明できなさそうですよね(T_T)

でもここは乾電池についての実験ではないので,しばらくは細かいことは気にしないようにしようと思います(笑)

みなさん,どうもありがとうございました.

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/04/25(Wed) 18:47)

ちょっとコメント:

>ただ今回の実験では「9v」と記載していたものに対し,デジタルオシロスコープが「9.6v」を観測していました・・・;

仮に「9V」の電池が「1.5V」の電池を6個直列にしていれば9V以上の電圧が出ることも在るようにおもいます.

>(目測ではありません,本当に画面の表示は9.6vだったのです・・・)

デジタルオシロスコープの怖い所は,ゼロ補正や,AC/DCカップリングなどの設定を注意しないと,最後の最後で泣く事が,多々あることです.

私は,超オッチョコチョイなので,大雑把な電圧は,自前のマルチメータであたっときます.オシロも気になったら実験用の電源や信号発生器などを測定して動作を確認をします.

〜〜〜 電位や電位差の単位は「V,ボルト」です.大文字のVです,念のため.

Re: 乾電池の起電力について

komagatake さんのレス (2007/04/26(Thu) 09:49)

えりさん

zoroさんへの補足です.

>仮に「9V」の電池が「1.5V」の電池を6個直列にしていれば9V以上の電圧が出ることも在るようにおもいます.

仮にの部分です.9Vの電池は普通積層乾電池と呼ばれているものです.1.5Vの電池を6つ組み合わせています.単独で起電力が9Vになる電池は現在では存在しません.(多分これからもないでしょう) 酸化還元電位の組み合わせで起電力が決まるのですがどれも数Vのレベルだからです.イオン化傾向が大きいので知られているリチウムでも3Vです.(高校で良く実験するNaと同様Liも水と反応する金属です.電池の中で水を使うことができません.)

自動車用のバッテリーで6V,12V,24Vというのを目にしますので時々そういう起電力の電池があると思っておられる方もいます.これも2Vの鉛蓄電池を組み合わせたものです.(2枚の鉛板と希硫酸,手回し発電機,豆球で作ることができます.)

公称1.5Vの電池が1.6Vの起電力を示すとしたら公称9Vの電池だと 9×1.6/1.5=9.6です

前回書いたものに対する補足

乾電池の理論起電力についての数値の書かれているサイトがないと書きましたが放電特性についてのサイトはたくさんあります.電池としての性能からいうとこちらの方が実際的な意味を持つからでしょう.公称1.5Vの電池でも流れはじめは1.5Vを越えているものがほとんどです.

酸化・還元電位は温度,濃度,pH等により変わりますので乾電池に対してそういう数値を書くことは意味がないと判断しているのかもしれません.

>でもここは乾電池についての実験ではないので,しばらくは細かいことは気にしないようにしようと思います(笑)

これはちょっと引っかかります.

あっさりこの様に打ち切ってしまわずに普段使っている電池に対しての勉強の機会だと思って頂くといいと思うのですが.普通なら流してしまうところに気が付いたのですから.測定誤差と思っていたがそうではないというのも大きいことです.

確かに電池の細かい仕組みは必要ないとは思うのですがやはり電池に対する理解を深めようというものではあるはずです.でなければこの実験は単に起電力を測る原理と方法の修得だということになってしまいます.その場合でも電池の場合と電源装置のものとで注意点が異なります.測定回路も変わってくるはずです.それはやはり,電池が内部で起こっている化学反応を利用したものであるということから来るものです.

物理の勉強が機能的な理解や操作的な理解に流れやすいので実体的な認識に目を向けようというきっかけにしようとしているのかもしれません.(これは独断です)

Re: 乾電池の起電力について

えり さんのレス (2007/04/27(Fri) 00:21)

>9Vの電池は普通積層乾電池と呼ばれているものです.1.5Vの電池を6つ組み合わせています.単独で起電力が9Vになる電池は現在では存在しません.

初めて知りました.しかも1.6?であるときの乾電池が6個連なっているときの電圧が9.6?・・・!!これは感動しました.自分なりに理解して,早速考察に入れてみたいと思います.

>あっさりこの様に打ち切ってしまわずに普段使っている電池に対しての勉強の機会だと思って頂くといいと思うのですが.

すみません..はい,頑張ります.

みなさん,どうもありがとうございました.

Re: 乾電池の起電力について

佑弥 さんのレス (2007/04/27(Fri) 12:40)

しばらく見ていない間に結構すごいことになっていますね.^^

補足しようとした事もすでに書かれているので,特に書かなくては ならないこともないのですが,実験結果と自分の理論的考察が違う 結果を示したときにどう考えていくか,というのは難しい問題だと 思います.

僕は理論がすきなのですが,行った実験の結果は一番尊重するように しています.単なる測定誤差だとしても,それがなぜ起こったのか (計器の故障,環境の問題etc),について自分の使った理論の適用法を 見直す意味でも,できるだけ考えるようにしています.(時間が取れな いこともありますが・・・)

要は,実験結果を大切にしてほしいな,というのが伝えたかったこと です.科学は実験しないと始まりません(笑)

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/04/27(Fri) 15:26)

komagatakeさんに触発されて,積層乾電池について,記憶をたどったり,測定したり,インターネットで検索したりしてみました.以下に,思うままに書いてみますが,あまり正確かどうかを保証しません(笑).

(1)いつ頃から知ったか?

「9V 積層乾電池」と見たとき,何知れぬ懐かしさを感じました.記憶を辿ると,今から50年弱前の小学生高学年の時に,ソニーのトランジスタ・ラジオに出会い,電源が「006P」である事を思いだしました.この辺の記憶からネットに下記の説明を見つけました; ・ http://www.sonyemcs.co.jp/monozukuri/chapter01/03.html これによると,ソニーが自分のTRラジオの為に「006P」を作ったようです.

(2)初期電位はどれくらいか?

今回,「公称電圧」を知ったのですが,「使用推奨期間」というのが在るのを知りました.昨日購入したのは;

Panasonic アルカリ乾電池9V,6LR61Y(XJ), 01-2009

でした.これをデジタル・マルチメータ(入力インピーダンス:>10MΩ,<100pF)で測定すると;

・初期電位 = 9.73V,

となりました.

(3)構造が気になり分解した!

後でご紹介するサイトで,6本の小型乾電池が直列になっていると書いてあるので,古いPanasonicの6LR61Y(G)を分解してみた.といっても,ペンチで,外側の金属膜を切り裂いて行っただけですが.

その結果,6本の細身の電池が直列になっているのを確認しました.その形状は;

・外径:7.90mm ・長さ:41mm弱

でした.道理で

電池の知識:電池年表|社団法人電池工業会

で,「9V 積層乾電池」の構造が書かれていない訳です.自分はてっきり,四角い箱の中に,6層の構造体が作られているとばかり思っていたからです.←お恥ずかしい.

(4)参考となるサイト

●4.1「 2004年9月18日節電ファイター第7回目(積層電池を攻略する)」 o http://www004.upp.so-net.ne.jp/hopeless/TPLB043.html o 軽妙なタッチであるが,しっかりした実験と分析に拍手!

「乱な時代を生き抜く野郎の日常」←上のページを含む目次

o http://www004.upp.so-net.ne.jp/hopeless/tawagoto.html o ここに記事のリストがあり,節電ファイター第3回目(一次電池を攻略する)以下が面白い

●4.2「乾電池 コレクション http://www.protom.org/battery/

こちらのQ&Aの一部を引用させていただきます:

〜〜〜〜〜〜引用はじめ〜〜〜〜〜

その乾電池はAAAA型といって国内規格にはありません(単6型?)イケショップか大型カメラ店(ヨドバシカメラ)にて入手可能です.お勧め出来ませんが,6LR61(9Vのアルカリ乾電池)を分解すると中から,AAAA(LR61)が6本出てきます.無論何の保証もなく,ご自分のリスクを承知の上で.私は一切の責任を負いません

〜〜〜〜〜〜引用おわり〜〜〜〜〜

●4.3ソニーイーエムシーエス(株)ソニー 製造とモノづくり 第1章

以上.

〜〜〜〜 【感想】

電池というのは水溶系の魔術みたいで,なるべく近づきたくないという意識がありました.今回,いろいろ調べて,006Pは半世紀の歴史があり,自分の世代と並行して生まれた事を知り驚いています.

なお,東芝製の006Pには,「6LF22」と書いてありました.電池工業会の規格では,この方が正しいようにも思えます.少なくとも外形は四角な箱ですから.

近くのDIY店では,アルカリ電池をオキシライト電池の2種類だけで,マンガン電池は無くなっているのを気づきました.

Re: 乾電池の起電力について

komagatake さんのレス (2007/04/28(Sat) 09:49)

zoroさん

006Pを分解したという事ですね.感心しました.起電力の測定もやっておられます.やってみようという精神が旺盛ですね.

単6電池が6本入っているというのは知りませんでした. でも納得が行きませんでした.何故積層と言うのだろうと思ったからです.私も昔分解したことがあるように思っています.記憶がハッキリしないので自信がありませんが積層だった様に思います..それであちこちサイトを調べました.

見つけました.

このサイトは単6電池を手に入れるのを目的にしているものです.どのメーカで可能かを調べています.単6が入っているものと積層のものとがあるというのが載っていました.東芝は積層らしいです.四角いのが6つ重なった写真が載っています.Nationalというのも積層です.私がやったのは多分紙巻きのNationalだったのではないかなという感じがします.

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/04/28(Sat) 11:59)

komagatakeさん,

本当はえりさんのコメントの後に書こうかと思っていたのですが,感激したので書き込みします.

>単6電池が6本入っているというのは知りませんでした. >でも納得が行きませんでした.何故積層と言うのだろうと思ったからです.私も昔分解したことがあるように思っています.記憶がハッキリしないので自信がありませんが積層だった様に思います..それであちこちサイトを調べました.

御意.で,今日,神田で高校の数学の教科書を取りにいくので,秋葉原にいって各種の積層電池を買わないと決着がつかないと思っていました.

やはり,東芝の6Fは,本当に6層の角形電池を意味している事が判り納得しました.

#ご紹介のサイトの写真は巧く撮れています. #わたしも似たように分解写真を取りましたが,要領が悪かったです. #東芝の分解写真で,電解質がゼリー状なのは面白いですね.

とても興味深い情報をくださり感謝しています.

〜〜〜 自分は,高校の物理の時間が大嫌いでしたが,komagatakeさんがする授業でしたら,きっと楽しく勉強ができたかもしれませんね.

通常の授業では進度の関係もあり,悠長に論議が出来ないのだろうと思います.夏休みに,今回のような物理と化学の合間のようなテーマを色々な角度で突っつくのも面白そうですね.

大学院になれば,所属学会の夏の学校などで,似た様な場が持てますが,高校生・大学生にも,そんなシーンがあると良いのかも知れませんね.

Re: 乾電池の起電力について

komagatake さんのレス (2007/04/28(Sat) 12:23)

zoroさん

>電解質がゼリー状なのは面白いですね.

乾電池の電解質は全てゼリー状です.

自動車用のバッテリーなどは液体が入っています.持ち運び自由な電池が「乾」電池です.電解液をゼリー状にすることで逆さまにしてもこぼれないようになっています.「乾」電池は「缶」電池の意味ではありません.でも昔の電池は亜鉛の筒に腐食孔が開いてよく液漏れを起こしました.今でも何年も入れっぱなしにしておくと液漏れが起こって電池ホルダーがさび付いてしまっていることが起こります.私はこれで無線機をアウトにしました.

Re: 乾電池の起電力について

komagatake さんのレス (2007/04/28(Sat) 15:38)

zoroさん

ふと気が付いたのでおまけです.

前に別のところで書いたのですがVの起源はボルタ電池です.それを直列にしてボルタ電池1個分,2個分,・・・というのが1V,2V,・・・だと書きました.

それに絡んでです.その直列にしたものの図がよく載っています. 1つ探したのでサイトを書いておきます.

ここで使われるのが積層なんです.pileといいます.電堆(electricpile)と訳しています.

塩水を含ませた紙と亜鉛板,銅板を順番に積み重ねていくとできます.今でも食塩水でしめらせたティッシュペーパとアルミ板,銅板でやられているようです. ボルタ電池1つでは発光ダイオードを光らせることはできないのですが積み重ねると光ります.

Re: 乾電池の起電力について

えり さんのレス (2007/04/28(Sat) 18:36)

電池一つをとっても奥が深いのですね. とても参考になりました.というより,みなさんの探究心には感服します. レポートは無事終了しました.

これからもどうぞよろしくお願いします.

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/04/28(Sat) 22:28)

>電池一つをとっても奥が深いのですね.

意外な展開でしたね.いつも無意識に使っている電池が19世紀のフランスを中心として生まれ,育ったとは,知りませんでした.

>レポートは無事終了しました.

良かったですね.この調子で,気になる問題を気楽に論議すると面白そうですね.

>それに絡んでです.その直列にしたものの図がよく載っています. >1つ探したのでサイトを書いておきます. > > http://www.ijinten.com/contents/ijin/volta.htm > >ここで使われるのが積層なんです.pileといいます. >電堆(electricpile)と訳しています.

そんな歴史のある単語ですか.またこのサイトを拝見して,ヴォルタさんの「V」が電圧の単位になる事に,私は賛同します.以前,komagatakeさんはダニエルさんの電池が本質的にヴォルタ電池を上回っているのだから,「D」としてもよかったとおっしゃいました.私の意見では,ダニエルさんの発見は,もはや物理の領域を離れ,電気化学の領域ではないかと推察します.ダニエルさんは,それを強く意識したので「1V」とされたのでは無いでしょうか?

>ここで使われるのが積層なんです.pileといいます. >電堆(electricpile)と訳しています.

この「pile:パイル」のことでしたか.自分は,これを見ると,原子炉を想起してしまいます.きっと燃料棒がいくつも集合して反応を維持するのを電池になぞらえて,命名したのかも知れませんね.

上のサイトで,ナポレオンさん,アラゴさんという方々が出てきます.アラゴさんは後に,フィゾーさん,フーコーさん,ナポレオン3世さんとも関わりがあり,自らも「m」の成立にも重要な活躍をされているようです.大陸の物理の時代であった訳ですね.

>乾電池の電解質は全てゼリー状です.

存じませんでした.最近の電池は液漏れしませんね.

【追伸】

>電気史偉人典

年代別,国別,50音索引,ABC索引,それに用語集まであり,凄いですね.物理の主要分野について,このような分析をすると面白いでしょうね.Wikipedia的に皆で作ると,楽しくて・有用かも.

Re: 乾電池の起電力について

komagatake さんのレス (2007/05/04(Fri) 13:07)

zoroさん

間が空いてしまいましたがまた追加です.

電池の直列の図は2通り出てきます. 1つは参考URLに載っていたボルタ電池のpileです. もう一つは容器を横に並べていくものです.ダニエル電池の直列はこの方式になります.電池の構造の違いからダニエル電池ではパイルにすることが出来ません.

ボルタ電池の電解液は1種類です.紙に染みこませた食塩水と2枚の電極で電池が出来ますので積み重ねることが出来ます. ダニエル電池は隔壁で混ざらないように工夫した2種類の電解質溶液をを使う必要がありますので簡単な方法では積み重ねることが出来ないのです.

ボルタは電池を積み重ねることによって高い電圧を取り出すことが出来ました.それだけです.筋肉に刺激を与えたり,人をビックリさせるということであれば十分です.元々2枚の金属板でカエルの筋肉に刺激を与える事が出来るというガルバーニの発見に端を発したものですから.電気分解も盛んに行われたようですが電気の総量だけが問題で電流が安定しているかどうかは関係ありません.(高抵抗の溶液であれば電流はかなり安定しています.) ダニエル電池では安定した電流を取り出すことが出来ています.前にオームの法則はダニエル電池によって可能になったと書きました.ボルタ電池では無理です.電流や電圧を定量的に取り扱うということがあって単位の話も出てくると思うのですがそれはやはり,ボルタではなくてダニエルです.

摩擦電気はかなり古くから知られている現象ですがずっと現象としてだけの理解で終わっています.定量的な考察の対象にする方法がなかったのでしょう.高電圧で一瞬流れて終わりというのでは扱いようがないと思います.この点ではダニエル電池に対するボルタ電池と似ています.

参考までに年代を書いておきます.

ボルタ1745−1827 ダニエル1790−1845 ボルタ電池1800 ダニエル電池1836 ルクランシュ電池1867(乾電池の原型) 電圧単位「V」1881

ボルタは初めて電池を作った人であるということが大きかったと思いますが電極が同じ(銅板と亜鉛板)であれば同じ電池であるという見方も影響していると思っています.長い間(いまだに)「イオン化傾向の異なる2枚の金属板と電解質で電池が出来る」という表現がされていました.金属板の方が主だというイメージが流布していました.金属板は導体としての意味しかない場合と反応物質を兼ねている場合とがあるのですが混乱していました.

Re: 乾電池の起電力について

zoro さんのレス (2007/05/04(Fri) 14:46)

komagatakeさん,

すこしづつ判ってきました.私は,物理については,ドライにその現象なり理論なりを考えるべきで,その研究者なり,関連する社会現象とは切り離して考えるべきだと思っていました.

しかし,今回の電池のお話や,すこし前にいくつか続いた天文学や量子力学前夜のスレッドを拝見しているうちに,少なくとも物理の内容も大切ですが,「文化としての物理」といった観点も大切な気がするようになりました.まだよく明かりませんが,「孤立点」というより「点の連鎖」見たいなものでしょうか.

他方,高校の物理の教科書を複数購入して,眺めていますが,最近の教科書には時間系列と人物の画や写真が出ていて,昔の教科書と随分な差だろうと感じます.しかし,これでは重層的な「文化としての物理」とは,まだ乖離が大きいように感じます.

話を,電池に戻しますと,「komagatake先生の物理の話」みたいなサイトを作られると面白いように感じてきましたが,如何でしょうか?

#電池の話と歴史 #摩擦力の考え方と自動車操縦法への応用 #ミニチュア・ジャンプ台の製作方法と注意点

〜〜〜 他方,私の方は,物量作戦をしました. <pre> メーカ名 品名 注文品名 使用推奨期限 価格初期電位

東芝電池 TOSHIBA アルカリ乾電池9V型6LF22AG EC 02-2009 380円9.56V

Gold Peak Group Ultra Alkaline Baterry 9V 1604AU-U1 02-2012 280円 9.71V

松下電池工業National NEO マンガン乾電池9V型6F22NB/1B07-2008 210円9.78V

松下電池工業Panasonic アルカリ乾電池9V型6LR61Y(XJ) 01-2009 ??? 9.73V

松下電器NEO Hi-TopC8501 6F22 S-006P(n)9V 06-1990 140円 9.28V(17年経過)

</pre>面白いのは,17年も前の電池が未使用で出てきて,その初期電位(むしろ中古電位?)が9.3Vで,結構いい値を出している事です.負荷をとると急激に電位降下が起きそうですが.... でも,腐食の感じはありません.