はじめまして,大学で現在量子の授業をとっています, レポートがでているのですが,全くわかりません.分かる方がおられましたら, 教えていただけないでしょうか.よろしくお願いします.
直行系→完全系 <m|n>=δmn →Σ|n><n|=単位演算子
直行系から完全系の証明なんですが,わかりますでしょうか... どうぞよろしくお願いいたします.
ブラケット表示は,便利なものの,馴染み難かった記憶が朧げに在りますね.
この系の任意の状態を波動関数,|ψ>とすると,題意より系の固有関数である規格直交系,|n>によって展開可能である,
|ψ>=ΣAn|n>.
<m|との内積(|m>の共役関数との積を空間について積分)をとると,規格直交条件により,
<m|ψ>=<m|ΣAn|n>=ΣAn<m|n>=ΣAnδmn=Am,
となるから,任意の状態は次のように書ける;
|ψ>=ΣAn|n>=Σ<n|ψ>|n>=Σ|n><n|ψ>. (1)
ここで,目を閉じて,もう一度,上の右端の式を見ていると,「心の清い」あなたには;
Σ|n><n|ψ> = Σ|n><n||ψ> =Σ|n><n||ψ>={ Σ|n><n|}|ψ>, (2)
と見えてきませんか?
#うろ覚えですが,始めてこの手の話を見て; 『ブラケットから「ブラ」と「ケット」に分解した造語を考えた』のは, この時では無いかと思った事があります. #ディラックさんの興味深いのは,物理的に直截な表現が「ポット」出てくる事ですよね. まだ,幾つもの「ポット」に驚いてください.
すると,それが任意の状態|ψ>に式(1,2)が成立するのだから,
1=Σ|n><n|.
以上.
勿論,正しい証明は,ディラックさんの得意な方にバトンタッチします.
〜〜〜〜 これは,厳密な解法では在りませんが,困ったら思い出してみて下さい.「完全性」の不完全な説明というべきか(笑).
(加算)無限次元空間は難しいので(収束とか,完備とか...),厳密には関数解析を勉強してもらうか,図書館で フォン・ノイマン「量子力学の数学的基礎」, あるいは 新井 朝雄「物理現象の数学的諸原理―現代数理物理学入門」
を勉強してもらうしかないですが...
有限次元なら,一年生の範囲内のことなので簡単ですから,これで完全性を理解して,次に無限次元の完全性をおおざっぱに理解しましょう.
いま 次元のベクトル空間を考えます.互いに直交する単位ベクトルの組を としましょう.
もし,『 なら,ベクトルの組 は「完全」である』といいます.これが「完全」の初等的な定義です.
例えば,3次元空間を考えましょう,3個の互いに直交する単位ベクトルの組は完全なのですが,この組があれば,高校でも習ったとおり, 「任意の に対して
となる実数の組 が存在」 しますね.これはベクトルの成分そのものです.
つまり「互いに直交する単位ベクトルの組が完全なら(次元と個数が同じなら),任意のベクトルを成分表示できる.」ということですね.(逆も成り立つのは自明ですね.)
さて,量子力学の空間は無限次元です. は無限だから完全な組の要素数 も無限です.いま,ベクトルの一個足りない組を考えると も無限となり, より少ないと判定できないですね.でも,明らかに不「完全」です.
個数で完全かどうかを判定するのは不適切です.つまり,初等的な定義は使えません.そこで,完全性を別の表現に変えます.先ほど,逆も成り立つと言いましたが,これを使います.
『組 が「完全」とは任意の に対して
となる が存在すること(成分表示できること)』
これが完全性の一般的な定義です.
ただ,このままでは扱いづらいので で内積をとると,直交性から,
が得られます.これを上の式に代入して,
『任意の に対して
なら組 は完全.』 を完全性の新しい定義とします.
この表示をブラ・ケットで書き換え,右辺の をのぞいた部分を演算子とみれば,題意の式になりますね.
ありがとうございました. なんとか,解決しました.
量子力学を勉強し始めたばかりで,分からないところが多いですが, なんとか理解できるようになりたいと思います.