ごく普通の高校生のひしみと申します. 科学にお詳しい方々の掲示板のようですので,質問させてください.
ニュートンが万有引力を発見したとき,落ちてきたリンゴは,ニュートンの頭に当たったのでしょうか?
よろしくお願いいたします.
ニュートンはリンゴが落下するのを見て,万有引力を発見したといわれています. ニュートンが頭上にリンゴが落下してくるのを見たのだとすれば,たぶんそれをよけたと思われるので,頭には当たらなかったでしょう.(よけるのが間に合わずに当たった可能性もありますが・・・) 頭に当たるまで気がつかなかったとすれば,リンゴの落下を見ていなかったことになるので,話がなりたちません. ニュートンがリンゴの木を眺めているときに,その目の前にリンゴが落ちてきたと考えるのが無理がないように思います.
しかし,そもそもリンゴの落下を見て万有引力を発見したという話が事実かどうかは不明で,後世の作り話だという説が有力のようです.
さっそくお返事をいただき,どうもありがとうございました. 大変勉強になりました.
断定することは,もはや誰にもできないでしょうが….やや古い本ですが, 『ホーキング,宇宙を語る』(S.W.ホーキング,林一訳;“A Brief History of Time”の日本語訳)の中で,ホーキングは次のように書いています.
リンゴが頭の上に落ちてきたことからニュートンは霊感を得たという物語があるが,作り話にほぼまちがいない.ニュートン自身は,重力の着想を得たのは坐って“黙想にふけって”いたときで,“リンゴが落ちるのがきっかけになった”としか述べていない.
ひしみさん皆さんこんにちは
英語の「ニュートン・ハンドブック」にはこの林檎がどーとかこーとか書いてありましたが,この逸話は「コロンブスの卵」「ピサの斜塔とガリレオ」と同じく全くのガセネタと断定して間違いありません.
私が確信を持ったのはアーノルドの『数理解析のパイオニアたち』を読んだからです.
ことの始まりはフックからの共同研究を提案する書簡にあるのです.後のニュートンとフックの関係を考えると,フックの功績を認めたくないので,リンゴの話をでっち上げた,と考えています.
ロシアの碩学アーノルドの本は「中身拝見」で目次や万有引力に関する文章を一部読むことが出来ます.ニュートンの姪が出任せを言い,それをヴォルテールが広めたのだと思っています.
ニュートン力学を大陸に広めたヴォルテールの功績はもっと認められて良い.『哲学書簡』を見てください.彼の愛人はクレーローと協力して『自然哲学の数学的諸原理』を仏訳したというおまけもあります.