外国語の表記について

外国語の表記について

zoro さんの書込 (2007/03/24(Sat) 12:12)

物理・数学などだけでなくても,外国の言葉をカタカナ表記することは段々と頻度が増しています.これは,専門家の方々が,専門用語に漢字を当てはめることを諦めたためと思われます.

また,わが国で使われた外国語を考えると,中国語・韓国語・台湾語・インドネシア語・ヴェトナム語・沖縄語(推測)・ポルトガル語・オランダ語・フランス語・ロシア語・英語と時代背景に応じて変遷してきたものと思われます.

このような歴史的な背景のもとに,専門用語のカタカナ表記が使われてきたのだと思います.その為に,ある時代では自然なカタカナ表記が,不自然に感じられるようになったりすることがありましょう.また,外国語が一部の人々にしか使われず,間違った表記を公に認めた為に,不自然な表記のまま使われていることもあると思います.

我々の使う物理用語でさえ,そのような単語を散見しますね.卑近な単語の筆頭では, <pre> 単語 常用表現 英辞郎第三版のカタカナ表記(発音記号とは別途) energy エネルギー エナジー,エナジィ vector ベクトル ベクター(生化学の"vector DNA"で) </pre> が挙げられるとおもいます.この例では,おそらく明治政府が物理・医学を独逸帝国から導入した歴史的背景に根ざすものと思います.しかし,第二次世界大戦にわが国が敗戦し,相前後して世界の覇権が英国から米国に移ると同時に「米語」が世界標準になっている為に生じた文化的ギャップだろうと思います.

#逆に言えば,世界の覇権が分散しつつある現在,未来的には,中国語が #世界標準の一つとなる可能性もありますね. #そのような場合,わが国の独自性を示すものとして「カタカナ表示」の価値が高まる可能性もありましょう.

私は,物理や数学だけでなく,語学一般に落ちこぼれの才能があります.その為に,このような問題点を強く主張する自信がありませんでした.そんな私が,最近,「ベクトル」を「ヴェクタ」と言い換えるようになったのにある本の存在が大きいと思います.

その本は,医者の卵たちが,解剖学用語を覚える為の単語帳で, ・絵,・日本語と読み(ひらがな)の併記,・外国語と読み(カタカナ)の併記 をするものです.

肉単(ニクタン) 〜語源から覚える解剖学英単語集〜 文・イラスト 原島 広至 NTS,ISBN4-86043-060-3

この本は,解剖学書にありがちな「どぎついリアリズム」を追求しておらず,素人でも安心してみる事ができますので,本屋さんでご覧になると良いと思います.

で,「日本語と読み(ひらがな)」は素人には大変に有難かったのですが,「読み(カタカナ)」を最初は,馬鹿にしていました.例えば,pp76-77で,

・日本語:大腿筋膜張筋(だいたいきん まくちょうきん) ・外国語:tensor fasciae latae(<b>テ</b>ンサー <b>ファ</b>ッシイー <b>ラ</b>ティー)

何度か拝見していると,カタカナ表記でも,簡単なアクセント(太い文字)を付けるだけで大変に感じが良くなるのです.やはり言語というものは,「単語」という視覚だけでなく,「発音」という声帯運動や聴覚と連動して覚えることの大切さを身に沁みて感じたのです.

さらに最近は,英辞郎第三版の電子発声を聞いていると,単語と発音の関係がとても自然に覚えられるように感じています.中学生のころに,こんなツールがあったらと思う次第です.最近では,知らない単語にぶつかると,喜んで電子発声を聴いています.

逆に,これ等の結果,我々のカタカナ表現には「規則性が欠如」しているのではないかと思うようになったのです.

仮に,「 vector ベクトル」を容認していても,「vectoring ベクタリング」としか書けないわけです.とすると元の単語を「 vector ベクタ」とするほうが自然な流れと思います.

これから,物理や数学を新たに学ぶ生徒さん,学生さんが「奇妙なカタカナ用語」に出会った時に,このような考え方もあることを思い出していただければと思います.

変なおじいさんの独り言でした.