斜面を円筒が滑ることなく転がってのぼる場合,摩擦力は斜面上向き,下向きのいずれの向きに働くのでしょうか?
斜面上方に進むのを妨げるなら斜面下向きに, 転がりを妨げるのなら斜面上向きに摩擦力が働くと考えたんですが,逆向きになってしまいました.
よろしくお願いします.
重力も働いてるんですよね? なら,摩擦力は斜面上向き,重力の斜面方向成分は, 下向きってことで,つじつまが合いませんか?
重力下です.書き忘れました.すみません. 摩擦力が斜面下向きだと都合が悪くなるのですか?
>摩擦力が斜面下向きだと都合が悪くなるのですか?
もしそうなら,ころがれないと思います. 無回転やバックスピン状態で斜面を上る場合などでは, 動摩擦力が斜面下向きに働くかと・・・.
斜面をのぼる場合,重力のはたらきによって円筒はだんだん減速していきます. 滑ることなく転がるので回転の角速度もだんだん減少します. そのためには,角速度を減少させる力,すなわち回転の向きと逆向きの力がはたらかないといけません. 接触点ではたらくとすれば,この力は当然上向きになります.
なお,重力と垂直抗力には回転の角速度を変えるはたらきはありません.重心のまわりのこれらの力のモーメントを考えれば分かると思います.
>ミュフ猫さん レスありがとうございます.確かに転がれなくなりそうですね.
>yamaさん よく分かりました.丁寧な解説,ありがとうございます.
また疑問が出てきたのでここに続けます.
この摩擦力は,動摩擦力ですか?それとも静止摩擦ですか?滑らないための条件で出てくる摩擦係数は動摩擦係数なのか静止摩擦係数なのかという疑問です. 動いているといえば動摩擦ですが,滑っていないから静止摩擦だとも考えてしまいます.
滑りながら転がり落ちる場合,動摩擦で合ってますか?
滑ることなく転がる場合は静止摩擦力,滑りながら転がる場合は動摩擦力がはたらきます. 真空中で水平面上を滑ることなく転がる場合でも永久に転がり続けることはできず,だんだん減速して停止します.これは何らかの散逸的な力がはたらくためと考えられるので,これを転がり摩擦というわけです.
>滑ることなく転がる場合は静止摩擦力
大昔,友人達とビリヤードをしながら論議して,結論が出なかったのですが....畏友の一人は同じ見解を示されました.他方私は,「滑ることなく転がる」という事は,摩擦による仕事が発生しないのだからエネルギ散逸には寄与していないと考えました.
その時の感触では,面に接触する部分がミクロな塑性変形を起こす為にエネルギ散逸をおこす,当然単位時間に接触する部分の長さにエネルギ散逸は比例するはずだ.それが転がり摩擦というのではなかろうか....その後,摩擦の論議はそのままで,時間が経ってしまいましたが.本当はどうなんでしょうか?
静止摩擦力は仕事をしないので,転がるときに静止摩擦力だけしかはたらかなければエネルギー散逸は生じないでしょうね. 実際にはエネルギー散逸が生じますが,非弾性変形がその一因であると考えられます. 自動車のタイヤの空気圧が高いほど転がり摩擦が減少するそうですが,これは空気圧が高いほど変形が小さくなるためでしょう. また,タイヤが転がるときには,同時に僅かながらも滑りを伴うことが多いそうです.
>自動車のタイヤの空気圧が高いほど転がり摩擦が減少するそうですが,これは空気圧が高いほど変形が小さくなるためでしょう.
なるほど,「燃費をあげる,タイヤ寿命を長くする」なら「空気圧は高め」に,「制動力を上げる」には「空気圧を低め」にという話はそういう事ですか.長年の疑問が解けて嬉しいです.
>また,タイヤが転がるときには,同時に僅かながらも滑りを伴うことが多いそうです.
これは全く初めて知りました.どうやって検証したのかに興味が涌きます.横槍の質問でしたが,ご回答を感謝します.
「タイヤが転がるときには,同時に僅かながらも滑りを伴う」のは事実ですが,誤解しやすい表現かと思います. 先の丸まった消しゴムを机に押し付けるとき,軽い力では接触面積がΦ1mmですが,強い力ではΦ9mmになります. 消しゴムはどの向きにも進んでいませんが,接触面積がΦ1mmからΦ9mmに広がるとき,全方向に僅かに滑ります. タイヤが転がるときには,ゴムが次々に押し付けられるので,地面との間で僅にこの様な滑りが繰り返されます. この分野では「弾性接触論」という書物が昔はありました.
鉄にネジ止めされた鉄片でも繰り返し押し付けると同様の事が起こり,押し付力÷接触面積が耐力を越えると摩耗が顕著になり, 赤錆が生じ血が滲むようです.これをフレッチング・コロージョンと呼びますが,設計が悪いと,鉄片を焼入れても, 硬質クロームメッキしても,テフロン塗装しても血が滲むのを避けることが出来ません. 鉄片はネジ止めされているので接触面が潤滑油で洗浄されることもなく最悪です.無駄な押し付力を減らす工夫が必要です.
みなさまレスありがとうございます.
>yamaさん
>静止摩擦力は仕事をしないので,転がるときに静止摩擦力だけしかはたらかなければエネルギー散逸は生じないでしょうね. 実際にはエネルギー散逸が生じますが,非弾性変形がその一因であると考えられます.
転がる時に変形の起きない剛体を考える場合,エネルギー散逸は起きますか?
また,「散逸」という言葉を物理で聞くのは初めてなんですが,エネルギー散逸とは熱や変形によるものですか?散逸的な力とは何なんでしょう?
静摩擦とか動摩擦とかは滑り摩擦のときに言うことで, その理由は静と動では摩擦力の大きさが極端に異なるからでしょう. 転がり摩擦のときは静と動で大きな差がないので言わないのでは・・・
それでも,セラミック製のボールベアリングで, 転がり速度の増加と共に騒音が増える事実から,エネルギー散逸が生じてます. 転がる時に変形の起きない剛体を考えても,球の断面の精度が多角形などに悪いと, 低速では重心が上下し,高速では転がる面からのジャンプや面への衝突が起こる.
転がる時に変形の起きない剛体は接触面に過大な面圧が働き破損する. ベアリングなどで非弾性変形があったら直ぐに破損し,全く実用性がない.
接触面が弾性変形のみであったとしても, 球と軌道面に与えた弾性変形のエネルギーは球に100%回収されるであろうか・・・ 一例として,弾性変形であっても,内部摩擦での損失(散逸)はあるはずだ. 真空中のバネの弾性振動が減衰せずに永久に続くとの話は聞かない.
>転がる時に変形の起きない剛体を考える場合,エネルギー散逸は起きますか?
現実の実験に対する議論は,おもいっきりうっちゃって(w)考えて見ます. 例えば,水平で平坦な床の剛体の上で,質量密度の均一な剛体球を転がすと, 転がり摩擦力は生じないと思います. 私の解釈は,転がり摩擦力は,剛体の「並進運動」と「回転運動」との つじつま合わせの力と考えています. この場合,重力と垂直抗力は鉛直成分しか存在しないので,水平成分は 転がり摩擦力のみになりますが,二つの運動のつじつまが合う(つまり, 二つの運動方程式を同時に満たす)のは,転がり摩擦力が0のときに 限られるからです.よって,この場合は,エネルギー散逸は起こらない と思います. 一般に,二つの剛体間で衝突や動摩擦が生じなければ,「運動エネルギー」, 「位置エネルギー」,「回転エネルギー」の総和は保存されると思います.
いかにも,高校レベルのレスですいません.(ToT)