たびたびお世話になっております.増幅器に関する質問です.
非反転増幅器についてなのですが,基本的にこの回路は次のような形をしていますよね.
アース→抵抗1→抵抗2→Vo ↓↑ V-→→→→→→↑ ↑ V+-→→→→→→
↑
アース→ Vs(発振器)
このシステムの増幅度などはある程度把握しているつもりなのですが,実験で作成した次の回路の解析に困っています.
→→コンデンサ→→↓ ↑↓ アース→抵抗1→抵抗2→抵抗3→Vo ↓↑ V-→→→→→→→→→→↑ ↑ V+-→→→→→→→→→→
↑
アース→ Vs
要するに,抵抗1のあとに抵抗2とコンデンサが並列接続されており,さらにそれらの後に抵抗3が繋がれている,といった感じです.「非反転帰還回路」と銘打ってあるのですが,いまひとつ挙動が把握できません(カセットテープデッキの再生アンプのイコライザーとして使われているらしいんですが…).要求されているのはゲインの周波数特性の理論値の図示なのですが,どのようになるのでしょうか.ちなみに実験から得られたデータを両対数軸表示して図示すると,抵抗3が0オームのときは直線的に単調減少し,抵抗3が22kΩのときは少し下がったのち,一定値に落ち着くといった感じになりました.ちなみに,抵抗1=820Ω,抵抗2=680kΩ,コンデンサの電気容量=5100pF,発振器の振幅=40mVです.
少し長くなりましたが,よろしくお願いいたします.
はじめまして,みちるさん.
どの辺りでお困りになっているのか分かりませんが, 回路の解析については,上の一般的な非反転増幅器の解析とほぼ同じことをするだけのはずです.
上の回路ですと,
となりますね. 下の回路では,上の回路と比べて
というように置き換えてやればいいだけだと思います. つまり,,
となると思います.
ご自分で一度計算してみてください. おそらく,実験結果もこれとだいたいは一致すると思います. (オペアンプ自身が数mVのオフセットを持っていたりするはずなので.)
返事が遅くなってしまい,申し訳ありませんでした.この問題については解決できました.本当にありがとうございます.
もう一つ別の問題があるのですが,このスレッドで質問させていただいてもよろしいでしょうか.
「100倍の増幅度を得る10倍二段増幅回路と100倍一段増幅回路を図示し,比較する」というものです.
図示は,前者は増幅度が10になるような抵抗を備えたオペアンプを二つ並べればよく,後者は増幅度が100になるような抵抗を持ったオペアンプを一つ用意すればいいと思うのですが,比較というのは…何をしたらよいのでしょうか.
変なレポート課題だとは思いますが,助言をいただけないでしょうか.よろしくお願いします.
こんにちは.
私もそのレポートを出された先生の意図はよく分かりません・・・.
今の段階で思いつくのは, ・流れる電流の違い ・周波数特性の違い ・オフセット電圧の違い だけです..
入力,出力インピーダンスの違いや,スルーレートの違いなどもあるかもしれませんね.
いい問題ですねぇ.
ちょっと極端に考えて,10倍のアンプを作るのに3倍を2段重ねにするか? 100000倍のアンプを1段で作るか?などを考えてみたらどうでしょう.
ひとつ,基本的な質問をしてもよいでしょうか….
私の持っている電子回路の教科書には,「電圧ゲイン,位相特性などは高周波数まで各周波数ωに依存しない」と書いており,オペアンプの周波数特性について一言も触れていないのです.
肝心の高周波数における挙動というのを論じたいのに,一体なんなんでしょうこの本….
それはさておき,反転にしても非反転にしても,ωというパラメータはゲインのどこに入りこむのでしょうか?それを把握できれば,黒子さんのおっしゃる周波数特性の違いというのが理解できると思うのですが.
よろしくお願いします.いつも何度もすみません.
まず,みちるさんの教科書に書いてあることは間違っています. (単に,「高周波」の定義が違っているだけかもしれませんが.) オペアンプは高周波を増幅することができません. 良くても,数MHzくらいまでしかゲインを取れないはずです.
そして, 「入力する信号の周波数によってゲインが変化すること」や 「入力する信号の周波数によって入出力の位相差が変化すること」が,オペアンプの周波数特性です.
なお,オペアンプの特性を見るときの参考までに・・・
(結構,答えに近しいことも書いてありますが・・・)
オペアンプを使った回路の特性を考えるときには,まずオペアンプ自身の特性について知る必要があります. 私が意図した周波数特性も,篠原さんがおっしゃったスルーレートなども,個々のオペアンプが持っている特性です. 個々のオペアンプの特性を考えた上で,回路全体の特性を見直してみてください.
良ければ,実験に使われたオペアンプのデータシートもご覧になってみてください. 教科書に書いてある理想的なオペアンプと実際のオペアンプがどのように違うかが,よく分かってくると思いますよ.
ありがとうございます.ただ,誠に失礼ながら,以前このページ拝見しておりまして,もう少し定量的な解析があるとありがたいです….つまり,「なぜ周波数によって利得が変化するのか」が最も不明な点です.リンク先の解説は,一段だとこうなって,二段だとこうなるという結果しか書いておらず,更には専門用語が多くて少し私には手におえません….わざわざ挙げてくださったのに,申し訳ありません.
申し訳なく思われる必要はないですよ. ただ,私も人に教えるのが上手い人間ではないので,色々とご容赦ください.
さて,,どうしてオペアンプが高周波を増幅できないかですが・・・ それは,オペアンプの中に入っているトランジスタに原因があります.
もしも一から定量的な解析をなさりたいなら,トランジスタのベース・コレクタ間などの寄生容量について一度考えてみてください.
始めまして.そして,横から失礼します.
私は,回路に付いては「ズブの素人」ですが,すこし推察してみたいと思います.もし間違えがあれば,宜しくご訂正を願います.→専門家のみなさま.
1) 黒子さんのおっしゃる寄生容量は,デバイスが真空管から半導体トランジスタ,さらに電界効果型トランジスタと進化したために; 1-a) 表面積が相対的に大きく成った. 1-b) 絶縁抵抗が高くなった ので,その効果が明確に出るのだろうと思います.
#信号に並列に入る容量は,信号の立ち上がり時間,立下り時間を指数関数的に増やしますね. #その時定数のオーダの短い矩形波のパルス列を考えると,下手をすれば信号が消えてしまいますよね.
ですから結構配線の長さだってシビアに効くように思います.それにむしろキャパシタンスだけでなくインダクタンス成分も考えたり,はてまた立体回路的な考察も必要になるかもしれませんね.
# 伝播時間が無視できないと,入力信号と帰還信号が同一の時間に対する時刻にたいする事象で無くなるので,過渡応答がおかしくなるでしょうね.当然,周波数応答に影響するでしょうが,数学的には時系列での自己相関の範疇で解析されるのかも知れません.
# 上の例では,周期100psの波形でも,15mmの長さで位相が180度ずれるということになります.
多くの方々からのコメントを元に,じっくりと考察される事を期待します.
オペアンプ一段と二段の違いは,生じるノイズの大きさについて考えたらどうですか?
みなさま,本当にありがとうございます.寄生容量という単語すら私は存じておりませんでしたが,私なりにインターネットを通じて理解したつもりです.要するに回路の一部にコンデンサ的な要素を持ってしまうということでいいんでしょうか.そうだとすると,確かに周波数のパラメータが活きてくる気がします….
クロメルさん,ノイズというのは,ここでは何を以って定義されるものでしょうか?
今のところレポートに関しては,電流,増幅度,位相の違いなどを論じております.量的にはこれくらいかな…とも思ってはいるのですが.
蛇足ですが,ろくにというか全く,こういった特性に関する授業もないまま実験を行なうという学校の投げやりなシステムに若干憤りを感じています….
オペアンプはまず「ゲインが周波数によらず無限大,入力インピーダンス無限大,出力インピーダンス0」 の理想オペアンプとしてモデル化されます. そして負帰還によって外部の素子できまるゲインや周波数特性の回路が実現されます. しかし現実のオペアンプは理想的ではなく,さまざまな限界をもっています. たとえばゲインは直流では10万倍程度ですが,数Hzより上では周波数に反比例して減少し, 1MHz程度では1を切ってしまいます. このような特性は負帰還を安定にかけるために内部のコンデンサで無理につくられています. 内部のトランジスタはもっと高い周波数まで増幅できるのですが,大量の負帰還の安定性を 保証するために,数Hzから利得を減少させる必要があります.
今回の課題は多分,理想オペアンプの限界に関するものだと思われますので, 自分で資料を調べることを期待されているのではないでしょうか? 「オペアンプ」,「周波数特性」で検索すれば,資料はいくらでも出てきます. たとえば,
理想的なオペアンプの場合なら,オペアンプで増幅する時ノイズが発生しないので,オペアンプは一段でも多段でも同じ役目をするとおもいます.しかし,実際にはアンプが増幅する際にノイズが発生してしまいます.最初の段で発生したノイズは,次の段で信号と一緒に増幅されてしまいますよね.後ろのほうの段に増幅率の高いアンプをもってくると,最初に発生したノイズがどんどん大きくなってしまいます.だから多段にするなら,なるべく早い段階で増幅してしまったほうが,全体としてノイズは少なくなるわけです.というわけで,ノイズを考えると,一段か多段かによって得られる信号も異なってくるなあと思って書き込みました.ノイズの発生しない理想的な場合しか考えてなかったら関係ないので気にしなくて結構です.
失礼しました.ノイズの定義ですね.僕もあまり詳しくはないのですが,「アンプによって信号に加わるが,もとの信号とは相関をもたないもの」です.別の言い方をするとノイズはその自己相関係数がデルタ関数となるような成分です.この二つがまったく等価なものかどうかはわかりません.後ろの定義はどういうことかというと信号とその信号を時間τだけずらしたものを比較し相関係数をとると,たしか時間差τに対し指数関数的減少(すいませんここは少しあいまいです)をしたと思います.つまり時間差τが大きくなるにつれて自分との相関係数が緩やかに減少していくのですが,ノイズというのはまったくランダムな変動をするのでノイズを少しでも時間がずれた自分自身と比較しても,相関係数がゼロ(まったく関係がない)になってしまいます.
ノイズの原因に付いて,コメントします.通常の電磁気の常識的な範囲での類推ですが....
しばしば,外部電場は,外部にある電荷密度に支配されているからシールドされていれば,言い換えると,アンプにおいては,
であるから,内部に影響しないと言われる事が在ると思います.
しかし,これと外部電場が回路,特に入力端子に侵入しないという事とは別だと思います.特に高周波数の外部電場では,侵入電場を打ち消す金属表面での面電荷密度の再配置が対応できるとは限らないからです.
特に,半導体中におこる熱雑音;恐らく時間・空間的に発生する電子や半導体格子での熱運動による揺らぎから生じる?;があるとおもいます.理論的には統計力学で推定されると思いましたが....
昔は,低電流の領域では,電流を構成する電子の数がまばらになり,雑音を生じると書いた在ったと思いました.最近は,もっと広義に検討されているようです. ・ 量子信号検出理論
上記の検索で, ・検出器の雑音レベルと量子雑音レベルの絶対値について
も参考になりそうです.
ある実験で,アンプをちょこっと作ったときの失敗談です.模擬信号で万全の準備をしたのに巧くいきませんでした.すこしゲインがありすぎて,一部が矩形波になり,そのエッジが悪さをしていました.
以上,ご参考まで.