はじめまして.私は現在高校3年で11月末に大学の推薦入試を受けます.そこで物理の口頭試問があります.練習しているなかでどのように説明していいのか分からないものがあったので質問に答えていただけないでしょうか.
質量mの球が10個直線上にならんでいる.そこに同じ直線上を右向きに速度vで進んできた質量mの球が衝突した.衝突が完全弾性衝突だったとすると,衝突した球,衝突された10個の球のその後の運動について説明せよ. また,10個の最後の球の質量だけが2mであるとすると,球の運動はどのように変化するか説明せよ.
というものです.運動量についてだと思うのですが,うまく説明できません.ご回答よろしくお願いします.
始めまして.
こんなに難しい問題を,それも口頭で即席に答えるのは大変ですよね,
さて,「おもちゃで,鉄の球がたくさん吊り下げられていて,片端を摘んで離し,他の球列にぶつけると,逆の端の球だけが飛ぶ」のを思い出しました.
#当時,自分は,力学に興味が無くて,考えようとしませんでした.
話を回答に戻します.きっと,この手の問いは,よく知らない現象を,どのように分析するかを見るのであって,回答結果の正誤が問われていないと推定されます.大きく息を吸って,腹をすえてリラックスして考えれば良いかと思います.
私は,昨日の寝る前にこの問題を拝見して,寝床で考えた定性的な説明をしてみます.
【ステップ1:2質点系】
完全弾性衝突の問題ですから,m1とm2の質量を持った2質点系の計算は出来るとします.これが出来ないと説明の基盤がない事になりますね.
特にm1=m,速さv で,m2=M,速さ0 で衝突するとします.そして極端条件として;
・M=とても大きい → 壁での正面衝突(垂直反射) ⇒ m1は反転するだけ ・M=m 同一球どうし → ビリヤードの正面衝突 ⇒ m1は運動量を放出して停止,m2は運動を貰って早さv
何れも運動エネルギも衝突の前後で変わっていません.また重心速度と相対速度に分解することをご存知でしたら,どんな質量比でも完全弾性衝突するかぎり相対速度は反転するだけということを計算でも示すことが出来ますね.
【ステップ2:2質点での作用反作用】
最初のステップでの計算を,わざと省きましたが,2質点の衝突で,一番大切なのは,質点相互が力を及ぼしあうときに, ・作用反作用: (1から2への力)= -(2から1への力) = -f(t) ・運動量の微分 dP1 = -f(t)dt ,dP2 = +f(t)dt
このイメージを描くことが良いと思います.衝突現象は相互の力のやり取りで,その時間積分(力積とも呼ばれる:力の時間積分)が運動量の交換を起こすと感じていいのだろうとおもいます.
【ステップ3:2個の球への衝突】
衝突の瞬間をイメージします.左から球を,s1,s2,s3と呼びます.
この衝突では,3個の球が数珠繋ぎに,しかし其々は対等にぶつかると考えれれます.
・運動量の微分 dP1 = f(1←2)dt dP2 = f(2←1)dt + f(2←3)dt dP3 = f(3←2)dt
ここで,数珠繋ぎに衝突が進行するということは;s1が衝突でs2に発生する力は,s2が変形せず・エネルギ損失も起こさずs3に衝突することだから2質点系で作用反作用力f(t)で表せる事になり
f(2←1) = f(t),f(3←2) = f(t)
が成立します.また当然,f(j←k) = -f(k←j) ですから
dP1 = -f(t)dt dP2 = f(t)dt - f(t)dt = 0 dP3 = f(t)dt
となります.ですから観掛け上,中央の球s2にはなにも変化がなく,両端の球同士が衝突を起こすと考えることが出来そうです.
このような「数珠繋ぎに衝突」での相互作用の伝播を考えれば,他のケースに拡張できますね.
ベストを尽くされますように.