トランジスタ

トランジスタ

みちるさん さんの書込 (2006/10/15(Sun) 13:45)

工学部2年の者ですが,電子回路の質問をさせていただいてもよろしいでしょうか.

トランジスタの絵をここで表示できないのでうまく表現できるか分からないところがありますが.質問させていただきます.

(1)エミッタ抵抗REは動作点を安定化する.何故か説明せよ.

(2)エミッタバイパスコンデンサCEはCEがない場合の低増幅度を緩和する.何故か説明せよ.

基本的にトランジスタのことについて単純にベースの電流を増幅させるものだとしか把握しておりませんので,できれば基本的なところから説明していただきたいと思います….そのために数式処理にいたる以前の段階でございます.よろしくお願いいたします.

Re: トランジスタ

篠原 さんのレス (2006/10/16(Mon) 20:17)

はじめまして. 篠原です.

(1)エミッタ抵抗REは動作点を安定化する.何故か説明せよ.

エミッタ抵抗がない場合,トランジスタは熱による正帰還が発生し,動作が不安定になります.(熱暴走) 具体的には,

1,何らかの要因でエミッタ電流が増える 2,エミッタ電流の増加により,トランジスタに熱が発生 3,熱によりトランジスタ内の少数キャリアが増え,さらにエミッタ電流が増える (熱を加えると一般に半導体は抵抗が小さくなります) 4,再び1へ

このような悪循環により,トランジスタが壊れるまで電流が増加することになります. そこで,エミッタ抵抗を導入すると,

1,何らかの要因でエミッタ電流が増える 2,エミッタ抵抗に流れる電流が増え,エミッタ抵抗にかかる電圧が増加 3,その結果,エミッタの電位を押し上げる 4,エミッタの電位が上がると,ベースエミッタ間の電位差が小さくなり,ベース電流が減る 5,ベース電流の減少により,コレクタ電流減少,エミッタ電流も減少

というサイクルになります.熱暴走の場合と違い,負帰還となっているため熱暴走を防ぐことが出来ます. しかし,エミッタ抵抗を導入すると,増幅率が低下してしまうため,「高周波において」低増幅度を緩和するためにエミッタにコンデンサをはさみます.

あと少しは,ご自分で考えてみてください.

ではでは

Re: トランジスタ

MXK さんのレス (2006/10/18(Wed) 01:17)

熱暴走にいたるというのは必ずしも正しくありません. 環境温度によるトランジスタの特性の変化によって動作点が変化し,それに伴って利得が変化する,というのが現実的な答えです.エミッタ抵抗による負帰還によってトランジスタの特性変化が緩和され,利得の変化が抑えられる機構は篠原さんのおっしゃる通りです.

Re: トランジスタ

みちるさん さんのレス (2006/10/18(Wed) 01:54)

ご親切に回答して頂いて,誠にありがたく存じております.

これからもなにか問題があれば,質問させていただきたいと思います.

よろしくお願いいたします.

Re: トランジスタ

みちるさん さんのレス (2006/10/21(Sat) 12:22)

色々と悩みましたが,交流電源ですので,考えられるコンデンサの働きとしては,電流位相が電圧の位相よりも早いということくらいでしょうか.ただ,回路全体に対する因果関係はつかめておりません.今一度,ご教授いただけますでしょうか.

また,質問を立て続けにして誠に申し訳ないとは思っておりますが,もう一つお願いいたします.

入力電圧を一定にして周波数を大きくしたときのゲインが,上に凸の二次曲線のような変化をしました(横軸が周波数).これは何故でしょうか….

Re: トランジスタ

篠原 さんのレス (2006/10/21(Sat) 23:18)

MKXさん,ご指摘ありがとうございます. おっしゃるとおりです 「熱暴走に至ることもある」と言うべきでしたね

みちるさん,今手元にパソコンがないので,今は長い説明を書いていられません. すみません 私か別の方からの返信があるまで,もう少しご自分で調べたり考えたりしてみてください

Re: トランジスタ

MXK さんのレス (2006/10/23(Mon) 01:14)

位相だけでなく,電圧と電流の振幅の比に注目してください. コンデンサは低い周波数では開放(ないのと同じ),高い周波数では短絡(銅線と同じ)であることを理解してください.

Re: トランジスタ

篠原 さんのレス (2006/10/24(Tue) 00:30)

おそくなり,申し訳ありません. MXKさん,フォローありがとうございます.

みちるさん,MXKさんの仰っていること,理解できますか? 直流においては,負帰還をかけないと動作が不安定になりますよね. でも,交流においては,ある程度の増幅度を確保したいわけです. だから,直流から見ると,インピーダンスが大きく,交流から見るとインピーダンスが小さくなるような素子をエミッタに挿めば,動作は安定し,ある程度の増幅度を確保できるわけです.

具体的に計算してみると実感できるかもしれません. エミッタ抵抗は数キロオーム程度の抵抗を付けます. これに対し, 100 \mu F のコンデンサコンデンサを付けた場合,このインピーダンスは(例えば1kHzなどで)どの程度になりますか? また,この値は,エミッタ抵抗に比べてどのくらい小さなものですか? 計算してみてください.

さて,増幅度と周波数に関してですが,具体的な回路がないため,一般的なことしか言えませんが,,,

上のエミッタに挿むコンデンサの事にも関連しますが,低周波側では,コンデンサのインピーダンスが大きなものになります. このため,低周波では大きな負帰還がかかってしまい,利得が落ちることになります. また,入力や出力にコンデンサが直列に接続されているなら,これらのインピーダンスによる影響も加わり,利得の減少はより大きなものとなります. また,高周波側では,トランジスタそのものの影響により利得が落ちてきます. トランジスタの中身について話していると話が長くなり,私もよく理解できていない部分もあるので,詳しく説明しませんが, 「トランジスタが追随できる周波数の限界に近づくため」と今は思っていてください.

もし,興味があるなら,半導体について勉強してみてください. 今日は半導体の国際学会を見てきましたが,どの企業,大学も高周波において如何にして利得を上げるか,という事に必死です. まだまだホットな分野です. 勉強してみると面白いかも知れませんよ ;)