光の性質

光の性質

コヒーレ さんの書込 (2006/09/13(Wed) 21:39)

こんにちは,高専の3年生のコヒーレといいます. 今日,光の性質のマイケルソン干渉計による実験をしました. それで,光の波長は一定なのに,実験ではなぜ変わるのかがわかりません. 自分は干渉縞の変化数が増加するから変わるのだと思います. 皆さん,ご教授お願いします.

Re: 光の性質

mNeji さんのレス (2006/09/13(Wed) 22:23)

はじめまして,コヒーレさん:

私は,学生実験のとき,この実験課題を風邪で飛ばしてしまい,実際にはやってません.相棒からとても怒られました.

なので,なのが困られているのかよく判りません.少なくとも,望遠鏡の視野の中にナトリウム灯の色合いの同心円が見えたのでしょうか?

もう少し,質問を詳しく書いてもらえませんか?

Re: 光の性質

コヒーレ さんのレス (2006/09/13(Wed) 22:59)

同心円は見えました. で,その同心円を中心から湧き出るように変化させると,波長が変化させる回数(円の中心から円が出て1回と置く)に比例して増えます. で,この時に波長が変わっていく訳は何ですか,というのがわからない. これでいいでしょうか?

Re: 光の性質

mNeji さんのレス (2006/09/13(Wed) 23:22)

実験装置の構造によって違うと思うのですが.

気になるのは「波長が変わっていく訳」というのは何のことでしょうか?

光源の波長は元素特有の輝線波長ですから,その放出順位のエネルギー的広がり(順位寿命の逆数)とか熱的ドップラー・ブロードニングぐらいの寄与しかなく,実質的には単一波長だと思いますが.輝線波長ごとの違いはあるでしょうが,主なD線が一番強度が強いですよね(うろおぼえ).

私の推測では,光源の逆側のミラーの位置を動かしながら,干渉縞の変化の回数(これを「波長が変化させる回数」)を数え,距離の変化分が計測精度の範囲にはいったら,次の計算で 「距離変化分」/「干渉縞の変化の回数」 光源波長を求めるとかしたのでは?

Re: 光の性質

mNeji さんのレス (2006/09/13(Wed) 23:29)

追伸:

だから波長が変わるというのではなくて,「光路差」を替えているのでしょうね.従って,絵を描けば当たり前ですが;

波長={2x「距離変化分」}/「干渉縞の変化の回数」

でしょうね,恐らく.

Re: 光の性質

コヒーレ さんのレス (2006/09/13(Wed) 23:56)

距離/干渉縞の変化数で波長は確かに求めました. 考えてみれば「波長が変わっていく訳」というのは間違いました. すみません. 距離/干渉縞の変化数で出た波長が距離,干渉縞が増すにつれ,次第に632.8(この数値は実験に使われた波長の値)に近づいています. 光の波長が一定なら最初から632.8近くを示すはずなのに…,なぜ違う値が出て次第に近づくのかがわからない? これが質問でした.

Re: 光の性質

mNeji さんのレス (2006/09/14(Thu) 00:18)

私は,最初に書いたように,この実験を自分でしていません.なので実感がありません.

カドミウムで見ると,643.84696nm,508.5823nm,479.99126nmの3原色が出るようですが,これとも波長が違いますね.

恐らく,距離の設定や,計測にからまる誤差が原因だとおもいます.移動機構のギヤのバックラッシュ,光学ベンチの剛性やぐらつき,マイクロメータの絶対誤差,マイクロメータの読み込み誤差などを検討して見ましたか?

また,いま気が付きましたが,同心円になる理由は,望遠鏡の凸レンズによる光路差によって出るのだろうと思います.ですから,光の検出系をフラットな光学系(例えば,凹面鏡)+ccd などで構成できれば同心円にならないと推測できます.

Re: 光の性質

yama さんのレス (2006/09/14(Thu) 01:04)

横から失礼します.

632.8nm は He-Neガスレーザーの波長だと思います. 反射鏡の移動距離の測定値の誤差についてはmNejiさんがあげられたような原因が考えられますが,それを用いて波長を計算する場合,干渉縞の変化数も波長の誤差に関係し,干渉縞の変化数が少なければ,波長の誤差が大きくなるは当然だと思います. たとえば,紙の厚さを測定する場合,同じ厚さの紙を何枚か重ねて測定すると,枚数が少なければ誤差が大きく,枚数が多くなるほど誤差が小さくなって一定値に近づくようなものでしょう.

また,干渉縞が同心円になるのは,反射鏡に対する光の角度によって光路差が異なるためで,凸レンズが原因ではないと思います. フェルマーの原理によると,1点から出て凸レンズで屈折して再び1点に集まる光の光路長はすべて等しくなっているはずです.

Re: 光の性質

コヒーレ さんのレス (2006/09/14(Thu) 01:34)

誤差によるものでも結構あるのですね〜. 検討してない項目もあるので検討してみます. ありがとうございます.

Re: 光の性質

mNeji さんのレス (2006/09/14(Thu) 01:37)

yamaさん:

>また,干渉縞が同心円になるのは,反射鏡に対する光の角度によって光路差が異なるためで,凸レンズが原因ではないと思います.

ということは,

  1. 一方の光を遮断した場合でも同心円は生じる訳ですね.
  2. 反射鏡が厳密に垂直になると同心円は消滅するわけですね.
  3. 反射鏡に対する光の角度によって光路差は,
回転軸に平行な縞状に分布すると思いますが,それはどのようにして, 同心円に変換されるのでしょうか? 出来ればフェルマーの定理に基づいて お教えくださると幸いです.

Re: 光の性質

yama さんのレス (2006/09/14(Thu) 02:38)

干渉縞は両方の反射鏡からの反射光の干渉によって生じるので,一方を遮断した場合は同心円は生じなくなります. 反射鏡が厳密に垂直であっても同心円は生じます.というよりも,垂直だから同心円になるわけで,垂直でなければ干渉縞は歪みます.

この干渉計は,2枚の鏡がわずかに位置をずらして配置されている光学系と同等です.ただし,鏡による遮蔽はないものと仮定します. x軸に垂直に2枚の鏡が少し位置をずらして置かれているとします. 広がりのある光源から出た光が2枚の鏡で反射するものとしてそれを原点から見ると,x軸上の光は2鏡間の距離のちょうど2倍の光路差を生じます. しかし,x軸からずれた位置から反射してくる光は,鏡に垂直な方向に対して斜めに進むので光路差は2鏡間の距離の2倍より大きくなります. つまり反射光がやってくる方向によって光路差が異なることになります. x軸に対する角度が同じならば光路差も同じになるので,原点から見ると,光路差が同じになる方向は,x軸を中心とする円に見えるわけです.

なお,ここで光路差と言っているのは,2つの鏡からの反射光の光路差のことです.同一鏡面上の2点からの反射光の光路差のことではありません.

Re: 光の性質

mNeji さんのレス (2006/09/14(Thu) 13:25)

yamaさん:

この干渉のメカニズムは,自分の想像していたものと極度に違うようで戸惑っています.

簡単な図と光路長の計算は,次のサイトで

回折と干渉

"実験1.マイケルソン干渉計を用いてレーザー光の波長を求める."

にありました.ただ,普通の回折格子のばあい,其々の格子溝が入射平面波を乱反射的に球面波として放出するために干渉が発生すると理解してきました.そして格子は入射方向に対して,左右に分布するといっていいですね.

ところが,マイケルソン干渉計では,格子溝に対応する構造はなく,入射光に対して,前後方向に位置がことなる平面鏡があるだけ(上のサイトの図5)で,乱反射要素が皆無であります.

そして,回折格子の場合,入射平面波が実際に方向を大きく変えて散乱します.これに対して,この干渉計では,望遠鏡の「目の位置」が扇の要(かなめ)となり,干渉する鏡での位置が変わるようです.

これが何を意味しているのかまだ理解できていません.光源が有限であるとか,鏡面が実はある程度ざらつかせてあるとか,なにかあるような気もします.

他方,100年も前に,半透明な金属の蒸着とか,精密マイクロ・メータとかが存分に実験に用いられてたというのは凄い事に,いまごろ驚いています.

Re: 光の性質

yama さんのレス (2006/09/14(Thu) 14:20)

>これが何を意味しているのかまだ理解できていません.光源が有限であるとか,鏡面が実はある程度ざらつかせてあるとか,なにかあるような気もします.

そうですね.ご紹介のサイトにも書いてありますが,入射光が広がりを持っていることが必要であって,点光源では干渉縞はできないと思います.レーザー光線の場合は,無限遠にある点光源と同じなので,擦りガラスで拡散させたりして広がりを持たせるようです.サイトの図ではエキスパンダーがこのはたらきをしているのだと思います.

>他方,100年も前に,半透明な金属の蒸着とか,精密マイクロ・メータとかが存分に実験に用いられてたというのは凄い事に,いまごろ驚いています.

100年前には,まだ蒸着は行われていなかったのではないでしょうか.銀鏡反応のような化学的方法でメッキしたのだと思います. いずれにしても100年前にあのような精密な測定が行われたことは驚くべきことですね.

Re: 光の性質

mNeji さんのレス (2006/09/14(Thu) 16:23)

yamaさん:

>そうですね.ご紹介のサイトにも書いてありますが,入射光が広がりを持っていることが必要であって,点光源では干渉縞はできないと思います.レーザー光線の場合は,無限遠にある点光源と同じなので,擦りガラスで拡散させたりして広がりを持たせるようです.サイトの図ではエキスパンダーがこのはたらきをしているのだと思います.

そうですか,再度読ませていただきます.ここら辺の細かい点は,通常の解説書では,手間隙がかかりすぎるので,端折るのでしょうね.望遠鏡から逆方向にパスを追いながら,干渉のプロセスを示すようなグラフィックスとかを作るといいですね.

>100年前には,まだ蒸着は行われていなかったのではないでしょうか.銀鏡反応のような化学的方法でメッキしたのだと思います. いずれにしても100年前にあのような精密な測定が行われたことは驚くべきことですね.

そこまで遡っているのか! 破天荒な実験だったのですね,すこし反省します.それも,波長を測るよりも「地球の運動速度」を計測するという遠大な実験をするために,このような技巧的な実験を構築して,実施しようとする意志力は素晴らしいものです.

そこでマイケルソンさんの事を,理化学辞典で始めて,詳しく見ました.なんと

マイケルソン(Albert Abraham Michelson, アメリカの物理学者, ポーランドの生れ)は1881年に「干渉計」を発明した.その後,1887年にモーリー(E. W. Morley)と共に地球とエーテルとの相対運動による光波の干渉現象を実測した.以下略.

一度,詳しい経緯を調べてみるのも面白いかもしれません.数学者は何百年まえの論文を平然と引用するわけですから.