高等学校で物理や化学を教えていました.今は定年退職をして家にいます.初めての書き込みです.
別のコーナーで同じタイトルの質問をしました.そこでこのサイトの解説を教えて貰いました.初めて納得が行きました.でもそれを他の人は受け入れてくれません.ちょっとイライラしています.
ここの解説で知ったのは「弦とは弓に張った糸の部分ではなく弓全体のことだ」ということです.だから弓形の月です.上,下は上に向いている,下に向いているではなく上旬,下旬のことだということです.月の形を見ての判断は右が明るいか左が明るいかだということになります.曖昧さがありません. 英語で何というかを調べたらfirstquarter,lastquarterでした.よく合いますね.だから辞書ではquarterを弦と訳しています.(研究社リーダース英和)
問題は下弦の月をどう判断するかです.上弦の月は昼前に出て夜中前に沈みます.はっきり見える夕方から夜中にかけては「弦」が左上になっています.これは言葉のイメージに合っています.下弦の月は夜中過ぎに出て昼過ぎに沈みます.明るく見えている夜中からあけがたにかけては「弦」が右上に来ます.これはイメージに合いません.これで質問しました.私の質問に答えてくれた人の殆どは上弦の月がイメージの通りだと言うことから出発しています.だから「「弦」が上だから上弦だ」という考えは正しいとしています.下弦の月はこれにつじつまを合わせてきます.下弦の月も沈むときは言葉の通りになっているというのです.でも沈むのは昼間です. 月の見え方は昔の人にとって曖昧なものではなかったと思います.対比的に表現するときに夜の空にはっきりと見える月と昼間ぼんやりと見える月を組み合わせて表現するなんて私には思えません.もし対比して捉えるのであれば同じような形で,同じような明るさで見える月を比較するとおもうのです.こういうとらえ方も理解して貰えません.
ネットのサイトに書いてある記事はすぐに相対化されます.いろいろ言う人がいるというだけです.「上弦の月,下弦の月」を扱っているサイトは多いです.でもこのサイトに書いてある内容は初めて拝見しました.
解説を書かれた先生へ. 1.この解説に対する反響,評価はどの様なものでしょうか. 2.この様な考えを裏づける手に入りやすい資料がありますか.教えていただけるとありがたいです.ネット以外に補強資料がないと受け入れて貰えません. 3.この解説では「月の出から月の入りまでの間に弦の上下が入れ替わる」ということを出発点にしています.でもはっきり見えている月(夕方から夜中までの月と夜中から明け方までの月)での矛盾点を取り上げて説明する事も必要ではないかと思います.見えているときで上弦の月というとき表現に矛盾はないからです.
以上よろしくお願いします.
komagatake さん,こんばんは. 「上弦の月,下弦の月」(※)の記事を書きました,COです.学生です.m(__)m (※) http://www12.plala.or.jp/ksp/astronomy/moon/ お読みいただきありがとうございます.
> ここの解説で知ったのは「弦とは弓に張った糸の部分ではなく弓全体のことだ」ということです.
月の話をするときには,そのとおりだと思います.
> 1.この解説に対する反響,評価はどの様なものでしょうか.
本記事は 2006年 1月15日に公開いたしましたが,外部の方からの反響・評価は komagatake さんのこの書き込みが初めてであると思います.
> 2.この様な考えを裏づける手に入りやすい資料がありますか.
簡単には下記のページに書かれています.
以下のページで詳しく議論されています.
(残念ながらリンク切れ? :( ) 書籍でこのような議論がなされているものがあるかどうかは,少し調べてみます. ちなみに手元にある広辞苑で「弦」を引くと次のように書いてあります. --- (1) 弓のつる.つる.ゆづる.「鳴弦」 (2) 弦楽器に張りわたす線条.「弦歌・管弦」 (3) 枡の上部に対角線上に張りわたす鉄線. (4) <b>月相が半円形に見えるもの.弦月.月齢7〜8日頃のを上弦,22〜23日頃のを下弦という.</b> (5) 円または曲線の弧の両端を結ぶ線分.また,直角三角形の斜辺.「正弦・余弦」 --- (4)は半円形の月そのものを「弦」と呼ぶことを裏付けているかと思います.
> 3.この解説では「月の出から月の入りまでの間に弦の上下が入れ替わる」ということを出発点にしています.でもはっきり見えている月(夕方から夜中までの月と夜中から明け方までの月)での矛盾点を取り上げて説明する事も必要ではないかと思います.見えているときで上弦の月というとき表現に矛盾はないからです.
ご意見ありがとうございます.改訂の際に参考にさせていただきたいと思います.
CO様ご返事有難うございます.
早速URLを読ませていただきました. 弦という言葉自体は半月を意味するというのも知りませんでした.元々は中国での使い方であるというのも知りました.でもそうですね.三日月だと弦がまっすぐではありません.弓張月というのがそれでしょうね.
弓の糸の部分が上にある,下にあるのを上弦,下弦として西の空にかかっておるときの形だというのは後世,覚え方として広まったものだろうというのがわかりました.私が疑問に思ったことは意味があったと思っています.有難うございました.
それにしても弦が上にある,下にあるという考えが正しいと考えている人は頑固ですね.はっきり見えている夜中の月と昼間のぼんやりした月とを対比的に言うなんて事をしていたとは思わないという私のこだわりなんか全く受け入れて貰えませんでした.昔のことは矛盾があって当たりまえという考えがあるという印象も受けました.私は昔の人もそれなりに一貫したつじつまの合う考え方をしているはずだという立場が強いです.月の満ち欠けの観測なんて紛れのない,長い蓄積のあるものです.いい加減な,こじつけのような判断基準ではないと思っていました.
CO様こんばんわkomagatakeです.
ちょっとまた思いついたことがありますので書かせていただきます.
「上弦の月」,「下弦の月」という表現,「弦が半月のことである」ということからすると上弦だけでいいはずです.それを上弦の月といえば月を2回使っていることになります.だから「弦」は月に対する形容詞であるという受け取り方に変わっていくことになります.「上弦」は月にかかる形容詞ですから「弦」が弓の弦の部分を表すという理解になってしまうのは流れだったのかもしれません.結局「弦」とは半月のことだということが日本語としてうまく伝わっていなかったからではないでしょうか.弦月という言葉が広辞苑にのっているということを教えていただきました.多分,上弦,下弦,弦月という言葉はあったが上弦月という言葉はなかったのでしょう.これを言いやすい上弦の月と2つに分けてしまったのではないでしょうか.
改めてこういう風に意味の転換が起こったのはいつ頃のことだろうかというのが知りたくなりました.教えていただいたURLの中に「後世の人が覚え方として言い出したもの」という表現があったのですがその後世とはいつ頃のことだろうかということです.例えば平安時代はどうだったかというのが知りたく思います.
何時までもこだわって考えています.
> komagatake さん > 「上弦の月」,「下弦の月」という表現,「弦が半月のことである」ということからすると上弦だけでいいはずです.
ご指摘の通り,ふつう「上弦」「下弦」だけです. 「の月」をつけるようになったのは,「弦」が「弧と弦」の弦になってからではないでしょうか.
> 改めてこういう風に意味の転換が起こったのはいつ頃のことだろうかというのが知りたくなりました.
確かに本来の用法から転じたのはいつ頃からなのか気になりますね. 太陰暦を使っている間は本来の意味で知られていたのではないかと思います. すると,明治以降に転じたのでしょうか・・・? 辞書に載っている語の移り変わりについて上で挙げたリンク切れのページに書いてありました..
※ リンク切れになっていたページのキャッシュを発見しました. ここには詳しく書かれているのでご一読ください.
CO様komagatakeです.
URL読ませていただきました.詳しく資料にあたった記事ですね.ちょっと嬉しくなりました. 少なくとも明治以前は混乱はなかったということがわかりました.戦後急速に広まったようです. しっかりした解説ですね. これで私もけりがついたという感じがします.有難うございました.納得がいったものはあちこちで言いたくなります.親しい友人の何人かにもう話をしました.
コンピュータにあまり詳しく在りませんのでこういう風にgoogle保存のものを探してくるなんて神業のように思えます. 有難うございました.
komagatake 様
もうひとつ,参考になりそうな URL を発見しましたのでお知らせしておきます.
当サイトの記事も,これらを踏まえてブラッシュアップしていきたいと思います. :) (ついでにこの考え方はまだ一つの説であることを明示しておこうと思います)
CO様komagatakeです.
何度も有難うございます.URL読ませていた抱きました.
今まで「上弦の月,下弦の月」というだけで検索をしていました.どれも同じで諦めていました.「弦月」という言葉もキーワードの中に入れると欲しい内容のものがかなり出てきました. 弦月という言葉の意味合いを知りませんでしたのでキーワードにすることが出来ませんでした. 欲しいものを検索するためには知識の広がりが大事だということがよくわかりました. 太陰暦で日付と暦,月齢が一致しているときは上,下が上旬,下旬と無理なく一致するというのは鋭い指摘だと思います.太陰暦だと七月七日の七夕ではどんな月が出ていたのかなんていうことがすぐわかります.この時の月を舟に見立てていたこともあるというのを書いてある記事も見つけました.だから竹取物語などで月から迎えに来るという話があると時間と形から月の中の上旬に設定していないとおかしいという考えも成り立つように思いました.
色々わかると楽しいですね.
こういう風な言葉の問題は背景にまで遡る意識が必要です.矛盾があろうがなかろうが「そういうことだとして覚えておこう」というとらえ方が学校教育によって広まっているのではないだろうかとさえ思います.
私は今ひとつそういうのを抱えています.『「酸化・還元」という言葉はラボアジェが言い出したものではない.oxideは「酸化物」ではない.』というものです.ラボアジェの本を読んでいて何故こんな事になってしまったのだろうと不思議に思っています.