「コーシー・リーマンの関係式」を再考する

「コーシー・リーマンの関係式」を再考する

mNeji さんの書込 (2006/07/21(Fri) 20:11)

コーシー・リーマンの関係式については,学生時代から釈然としていなかった.これを判らないと正面切っていえなかったと思う.ですからオイラーの公式が大好きな割りに,複素関数論は弱かったのです.

今回,近くのスレッドでこの「コーシー・リーマンの関係式」を利用した計算がでてきたので,自分なりに考えてみました.いわゆる「物理屋として納得できる」かも知れませんが,数学系統のかたから見ると,「複素微分可能性」を示したことにならないとも言われそうです.

がしかし,間違いなら間違いで,ではどう考えればいいかご指導いただきたく,以下に自説を書いて見ます.数式の使い方は「現代数学への入門 複素関数論入門,神保 道夫・著,岩波書店,2003-12, ISBN4-00-006874-1」,第3章 複素数の微分と積分,p49以降にあわせています.

f(z) = u(x,y)+\mbox{i}v(x,y)\qquad (z = x+\mbox{i}y) \tag{1}

辺々の全微分を考えます;

左辺の全微分;

\delta f(z) &\equiv  f(z+\delta z) - f(z) \\&= \frac{d f(z)}{d z}\delta z

右辺の全微分

\delta u(x,y) + i\delta v(x,y) &\equiv \frac{\partial u(x,y)}{\partial x}\delta x +\frac{\partial u(x,y)}{\partial y}\delta y + \frac{\partial \mbox{i} v(x,y)}{\partial x}\delta x +\frac{\partial \mbox{i} v(x,y)}{\partial y}\delta y \\&= \left(\frac{\partial u(x,y)}{\partial x}+\mbox{i}\frac{\partial  v(x,y)}{\partial x}\right)\delta x  + \left(\frac{\partial u(x,y)}{\partial y}+\mbox{i}\frac{\partial  v(x,y)}{\partial y}\right)\delta y \\&= \left(\frac{\partial u(x,y)}{\partial x}+\mbox{i}\frac{\partial  v(x,y)}{\partial x}\right)\delta x  + \left(-\mbox{i}\frac{ \partial u(x,y)}{\partial y}+\frac{\partial v(x,y)}{\partial y}\right)\mbox{i}\delta y \tag{2a} \\&= \left(\frac{\partial u(x,y)}{\partial x}+\mbox{i}\frac{\partial  v(x,y)}{\partial x}\right)\delta x  + \left(\mbox{i}\frac{ \partial u(x,y)}{\partial y}-\frac{\partial v(x,y)}{\partial y}\right)(-\mbox{i}\delta y) \tag{2b}

左辺の全微分が全ての方向の \delta z に成立するには,右辺の \delta x の係数と \mbox{i} \delta y の係数とが等しく,かつ左辺の \frac{d f(z)}{d z} に少なくとも比例する必要がある;

\frac{d f(z)}{d z} \propto \left(\left(\frac{\partial u(x,y)}{\partial x}+\mbox{i}\frac{\partial v(x,y)}{\partial x}\right) = \left(-\mbox{i}\frac{\partial u(x,y)}{\partial y}+\frac{\partial v(x,y)}{\partial y}\right)\right) \tag{3a}

上記で関数u(x,y),v(x,y)は実数関数であるので,コーシー・リーマンの関係式が成立する.

\left\{\begin{array}{l}\displaystyle \frac{\partial u(x,y)}{\partial x}=\frac{\partial v(x,y)}{\partial y} \\\displaystyle \frac{\partial v(x,y)}{\partial x}=-\frac{\partial u(x,y)}{\partial y} \\\end{array} \right.

#上式の記述に当り,Chappyさんに教えていただきました.感謝します.

Re: 「コーシー・リーマンの関係式」を再考する

Chappy さんのレス (2006/07/21(Fri) 23:10)

Chappyです,失礼します... left{ 〜right.でよいと思いますよ. 記述例は以下の通りです.

\left\{\begin{array}{@{\hskip4mm}l}\displaystyle \frac{\partial u(x,y)}{\partial x}=\frac{\partial v(x,y)}{\partial y} \\[7mm]\displaystyle \frac{\partial v(x,y)}{\partial x}=-\frac{\partial u(x,y)}{\partial y} \\\end{array}\right.

left{ begin{array}{l} displaystyle frac{partial u(x,y)}{partial x}=frac{partial v(x,y)}{partial y} \ displaystyle frac{partial v(x,y)}{partial x}=-frac{partial u(x,y)}{partial y} \ end{array} right.

ソースと実際に表示される数式は少し違うように見えますが, こまごまと細かいところを修正するのは僕の悪い癖です..

Re: 「コーシー・リーマンの関係式」を再考する

mNeji さんのレス (2006/07/22(Sat) 00:13)

有難うございます.今度こそ,確実に理解できました.

>ソースと実際に表示される数式は少し違うように見えますが, >こまごまと細かいところを修正するのは僕の悪い癖です..

Tex表記は慣れるに従って,細かな制御が出来るのが嬉しいです.これからも,4649.

質問:

f(z)の全微分を考える時, \bar z の存在も入れないといけませんか?

\Delta \Psi(\vec r) &=0 && \leftarrow \text{Laplace equation} & \Psi(\vec r): \text{harmonic function} \\\Delta \Phi(\vec r) & = q(\vec r) && \leftarrow \text{Poisson's equation}
\begin{array}{llll}\Delta \Psi(\vec r) &=0 &\leftarrow \text{Laplace equation} & \Psi(\vec r)=\text{harmonic function} \\\Delta \Phi(\vec r) & = q(\vec r) &\leftarrow \text{Poisson's equation} & \\\end{array}

Re: 「コーシー・リーマンの関係式」を再考する

Chappy さんのレス (2006/07/22(Sat) 00:24)

\bar{z}\mathbb{C} 上で微分不可能なので,

d\bar{z} は考えられないのではないでしょうか?

df=\frac{\partial f}{\partial x}dx+i\,\frac{\partial f}{\partial y}dy で考えてますから, \bar{z} が登場する意味が分かりません... df の複素共役を取る話ですかね,,,

Re: 「コーシー・リーマンの関係式」を再考する

mNeji さんのレス (2006/07/22(Sat) 01:08)

先日COさんがご紹介された

Cauchy-Riemann Equations -- from Wolfram MathWorld

や,手元の「複素関数論入門」でも \frac{\partial}{\partial z}f(z)\frac{\partial}{\partial \bar z}f(z) などの論議があります.

Re: 「コーシー・リーマンの関係式」を再考する

Chappy さんのレス (2006/07/22(Sat) 01:53)

すみません,理解に苦しみます... 自分の手持ちのテキスト2冊には載ってないので, 今度,解析好きの友人に聞いてみることにします.